20世紀日本人名事典 「井上伊之助」の解説
井上 伊之助
イノウエ イノスケ
明治〜昭和期のキリスト教伝道者
- 生年
- 明治15(1882)年
- 没年
- 昭和41(1966)年6月20日
- 出生地
- 高知県
- 学歴〔年〕
- 聖書学院
- 経歴
- 聖書学院で学び、佐倉伝道館、鉄道ミッションで伝道に務めた。明治39年台湾の花蓮港で父が現地人に殺害されたのを機に、台湾の山地伝道を決意した。日本政府は山地伝道を許さないため、出発前医術を学び、蕃地事務嘱託となりカラパイの診療所に入った。マラリアなどに倒れ帰国したが、大正11年種子島の伝道所を経て台湾新竹の日本聖公会の教会に赴任、医務嘱託として奥地に入り、あらゆる迫害に耐えて伝道に務めた。昭和14年病気のため下山、台北郊外に診療所を設けて伝道を続けた。しかし22年台湾政府の命令で帰国した。彼は生蕃という呼び方を高砂族に改めるよう主張、昭和初年から一般に普及するようになった。著書に「生蕃記」「蕃社の曙」「台湾山地伝道記」などがある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報