改訂新版 世界大百科事典 「交流ブリッジ」の意味・わかりやすい解説
交流ブリッジ (こうりゅうブリッジ)
AC bridge
ブリッジ回路の一種で,電源が交流のもの。標準の形をした図1のブリッジで,検出器Dに電流が流れなくなる条件(平衡条件)は,四つのインピーダンスの間にZ1Z3=Z2Z4の関係が成立することである。交流回路のインピーダンスは一般に周波数の関数で,電源が正弦波の場合,複素数で表現される。したがって上式の平衡条件は,実数部,虚数部がそれぞれ等しいという,実質的に二つの等式である。例えば図2のウィーンブリッジWien bridgeでは,ω2C1C2R1R2=1およびC2R2=C1(ZR2-R1)の2式となる。一般には平衡条件に角周波数ωが含まれるから,電源が単一正弦波でないとバランスがとれない。二つの等式が満足されるためには,少なくとも2ヵ所(例えばR1とC2)が可変でなければならず,直流ブリッジに比べてバランスをとるのがむずかしい。
交流ブリッジの種類は多いが,ウィーンブリッジのほか,平衡条件式にωが含まれないマクスウェルブリッジMaxwell bridgeがよく用いられ,さらに,対地静電容量による誤差が容易に軽減できる自動接地回路が用いられることが多い。交流ブリッジはインダクタンス,キャパシタンス素子の定数測定,損失(抵抗分),周波数特性などの測定や移相回路,周波数弁別回路,フィルターなどに広く応用されている。
執筆者:曾根 悟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報