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人道的介入 じんどうてきかいにゅうhumanitarian intervention

知恵蔵の解説

人道的介入

他国で侵害されている人権の擁護のため、外交的圧力、経済制裁、救援・停戦・警察・行政の要員派遣、あるいは軍事力行使などの介入を行うこと。イラク内のクルド民族に対する「保護地域」の設定、ソマリア及びボスニアへの要員と兵力の派遣、セルビアによるコソボのアルバニア系住人に対する民族浄化やそれへの報復行為を阻止するための介入などが、その軍事的性格を帯びた例。これが近年、争点化している要因は、(1)大規模な人権侵害の頻発、(2)人権の普遍性の意識の高まりと、他国の人権侵害への国際的関心の高まり、(3)軍事力行使が、手段として人権擁護に不可欠な場合がありながら、それ自体が破壊と人権侵害をもたらすという道義的両面性を持つこと、など。人権擁護の緊急性が高い場合、受け入れ国や紛争当事者の同意なしにも、人道的介入が許される、という考え方が強まりつつある。反面、介入の正当化には、国際世論の合意が重要。クルド民族保護の場合などでは国連安全保障理事会決議を根拠に多国籍軍などが介入。しかし、コソボ紛争の際のユーゴ空爆は、ロ中が反対だったため安保理を迂回(うかい)、欧州連合(EU)首脳会議の決定に基づき北大西洋条約機構(NATO)が空爆した。他方、ルワンダでの大量殺りくが進行した時には国連は本格介入しなかった、またダルフール紛争に介入したアフリカ連合(AU)は十分に機能せず、安保理で介入の強化が計画されている。このように(1)多くの人権侵害のうちどれに介入するか、(2)介入手段の選択とその成功の見通しの判断、(3)介入と撤退の時期決定、(4)国際的合意をどの枠組みで形成するか、などの問題は米国主導、大国主導で決まる恐れもある。◇最上敏樹『人道的介入―正義の武力行使はあるか』(2001年,岩波書店)

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

大辞林 第三版の解説

じんどうてきかいにゅう【人道的介入】

ある国の政府が、その国民を迫害しているとき、迫害を中止させることを目的として、他国が軍事力を行使して介入すること。

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