仁田・仁田村(読み)にた・にたむら

日本歴史地名大系 「仁田・仁田村」の解説

仁田・仁田村
にた・にたむら

いぬうら村の南東、仁田浦の奥に位置する。中世よりみえる地名で、近世には広域通称名として継承される。嶽の東麓目保呂めぼろ水源とし南西に流れる瀬田せた川と、東の鳴滝なるたき山から流れる飼所かいどころ川が合流して仁田川となって仁田浦に注ぐが、この流域に瀬田樫滝かしたき・飼所の三地区があり、仁田と総称する。仁田川は氾濫が多く、ニタの地名をヌタ(湿地・泥地)からの転訛とする見解が有力。伊奈いな郷の中央部にあたり、仁田川の流域には弥生時代の遺跡が多く、ことに銅矛を祀ったとみられる矛淵ほこぶち遺跡・槻の内つきのうち遺跡、有柄式磨製石剣の出土を伝える金幕きんまく遺跡が注目される。また国本くにもと神社と称する古社が瀬田に鎮座する。

〔中世〕

伊奈郡のうちで、貞和五年(一三四九)の二月二七日の宗宗香書下(伊奈郡判物写、以下断りのない限り同判物写)に「いなのこほりの内にたのしかのむたのやしきとう」とみえ、地頭の下知状にあるように公事を退転することなく納めるよう命じている。文中四年(一三七五)「にたのしかのむた」の在家が仁田の左衛門太郎の給分として宛行われた(同年七月二五日宗澄茂(隆茂)書下写)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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