今安保(読み)いまやすほ

日本歴史地名大系 「今安保」の解説

今安保
いまやすほ

古代和久わく(和名抄)内に成立した大炊寮領荘園。近世の今安村に比定される。史料的には中原師守の日記「師守記」および中原康富の日記「康富記」に散見するもの以外、多くをみない。平安末期以後、大炊寮の長官大炊頭が中原氏の世襲となったため、その日記に当保が散見するものである。前者からは南北朝中葉、後者からは室町時代中葉の当保の様子が瞥見される。

まず「師守記」には次のような建武三年(一三三六)八月一三日付将軍家御下知案(足利尊氏御判御教書)が見いだせる(貞治三年四月一日条紙背)

<資料は省略されています>

事件の具体的な背景は不明であるが、拝師はやし預所などによる当保への濫妨があったようで、この御教書は大炊寮の支配を保証したものである。

「師守記」には、次のような給分関係の記事もみえる(貞和三年二月二七日条裏書)

<資料は省略されています>

これは今安保履部六段三〇代内二段および「厨米弐石弐斗□□除行沢定」を定使給分として光阿に認めた大炊寮家御教書である。ちなみに、除分の「行沢」名は同年月日付で与一なる者に宛行われている(同日条裏書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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