兵糧米(読み)ヒョウロウマイ

デジタル大辞泉 「兵糧米」の意味・読み・例文・類語

ひょうろう‐まい〔ヒヤウラウ‐〕【兵糧米】

戦時兵糧に当てる米。特に中世、その目的諸国に課徴した米。

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精選版 日本国語大辞典 「兵糧米」の意味・読み・例文・類語

ひょうろう‐まいヒャウラウ‥【兵粮米】

  1. 〘 名詞 〙 兵粮にあてる米。特に、中世、兵乱に際して、武士に与えるために諸国に割り当てて徴発した米。
    1. [初出の実例]「補任諸国平均守護地頭、不権門勢家庄公、可宛兵粮米〈段別五升〉之由」(出典吾妻鏡‐文治元年(1185)一一月二八日)

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百科事典マイペディア 「兵糧米」の意味・わかりやすい解説

兵粮米【ひょうろうまい】

兵糧米とも記し,戦時における軍兵の食糧米。古代律令制では軍糧自弁と定められていた。平安末期,臨時的に諸国に兵粮米が賦課された。1185年源頼朝守護地頭設置を許された際,諸国の荘・公一律に段別5升の兵粮米賦課をも認められた。その後は兵乱の際,臨時に徴収される場合がほとんどであったが,室町時代,幕府半済(はんぜい)その他の方法で寺社本所領兵粮料所として与えるようになった。
→関連項目刈田狼藉国地頭城米

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旺文社日本史事典 三訂版 「兵糧米」の解説

兵粮米
ひょうろうまい

中世において,軍隊動員に際し,兵粮として一般からとりたてる米
1180年源氏挙兵に際し,平清盛が諸国に課したのが初例。'85年源頼朝は地頭に段別5升の兵粮米徴収権を与える勅許を得ている。南北朝時代室町幕府が武士に与えた兵粮料所や,南朝方が徴収した朝用分なども兵粮米としての性質をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内の兵糧米の言及

【兵粮(兵糧)】より

…中世成立期の源平内乱の時代には,これらに加えて新しい兵粮調達方式が登場する。朝廷が臨時の国家的用途のために徴集する税制として平安末期に形成してきた一国平均役を土台とする,戦時の兵粮米徴集がそれである。1180年(治承4)平氏が源氏蜂起時に諸国に課した兵粮米を初見とし,その方式は源義仲・源頼朝軍による平家追討時に継承され,やがて85年(文治1)11月のいわゆる文治守護地頭勅許のさいに,頼朝は朝敵となった源義経追捕の手段として諸国の荘公一律に反別(たんべつ)5升の兵粮米徴集を朝廷に要求し,認可された。…

【兵粮料所】より

…南北朝時代に幕府が軍勢発向諸国の本所領年貢を,1年を限って兵粮米にあてるよう指定した所領。年貢の半分をあてる場合が多いが,3分の1の場合もあった。…

※「兵糧米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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