日本大百科全書(ニッポニカ) 「仰臥漫録」の意味・わかりやすい解説
仰臥漫録
ぎょうがまんろく
正岡子規(しき)の日記(1901~02)。子規の死去する前年の1901年(明治34)9月、10月の日記がおもな内容となっている。05年『ホトトギス』の1月号に一部分を付録として発表、18年(大正7)岩波書店から全1巻木版本刊行。日々三度の食事の献立、訪問者、見聞を記録するとともに、病床に釘(くぎ)づけにされた子規のもろもろの感想、病苦のさま、家族への批判、遺言めく文章など、公表を意図したものでないだけに、思うままを率直に記し、子規の赤裸々な人間性をうかがう絶好の資料となっている。手控え帳として俳句、短歌、写生画も書きとどめ、新聞の切り抜きを貼(は)るなど雑然としたところがまた魅力である。
[宮地伸一]
『『子規全集11』(1975・講談社)』