任意法規・強行法規(読み)にんいほうききょうこうほうき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「任意法規・強行法規」の意味・わかりやすい解説

任意法規・強行法規
にんいほうききょうこうほうき

法律規定なかには、当事者がそれと異なった意思を表示すれば、そのとおりの効力を認めるものと、法律の規定に反する意思表示にはその効力を認めないものとがある。前者任意法規後者強行法規という。任意法規には、当事者の意思を補充し、あるいはそれを明確にするものが多い。債権法、とりわけ契約法上の多くの規定は、任意法規に属し、当事者がそれらと異なった意思を表示すれば、その意思に従った契約の効力が認められる。

 これに対して、強行法規は公の秩序に関し、公法上の規定にその例が多くみられる。ただし公法上の規定のうち、取締法規はつねに強行法規であるとは限らず、罰則は課されても、私法上の効力には影響がないものもある。たとえば、許可を受けないで風俗営業を営んだ場合などである。民法上は、物権法や身分法に強行法規が多い。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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