朝日日本歴史人物事典 「伊藤孫右衛門」の解説
伊藤孫右衛門
生年:天文12(1543)
室町後期・江戸初期,紀伊国有田郡糸我荘中番村(有田市)の農民。天正2(1574)年に肥後八代からみかん苗を持ち帰り,紀州みかんの創始者といわれる。しかし,すでに室町時代に京都の貴族が紀州みかんを土産物としているから,創出というよりも改良したのであろう。孫右衛門創始者説の典拠となった『紀州蜜柑伝来記』に2種の異本があり,この記事はひとつの系統の写本に後世加筆されたものという説もある。なお,名を仙右衛門とするものもあるが,これは誤り。<参考文献>安藤精一「紀州蜜柑の起源」(『和歌山の研究』2巻)
(安藤精一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報