伊豆長岡町(読み)いずながおかちよう

日本歴史地名大系 「伊豆長岡町」の解説

伊豆長岡町
いずながおかちよう

面積:一六・五二平方キロ

北流する狩野かの川左岸に位置し、北は函南かんなみ町・沼津市、南は大仁おおひと町・修善寺しゆぜんじ町、東は同川を挟んで大仁町・韮山にらやま町、西は静浦しずうら山塊を境に沼津市に接する。

狩野川沿岸にはいくつかの横穴墓群が残されている。大北おおきた大北東・大師山たいしやま割山わりやまの各横穴群で北江間きたえま横穴群としてくくられており、全体で国の史跡指定を受けている。このうち大北・大師山の両横穴群はほとんどが調査され、田方平野の横穴群研究に大きく寄与している。これらの横穴群は七世紀中頃からつくられ始め、七世紀の終りから八世紀の初めにかけてもっとも盛んであった。埋葬施設には家形石棺・刳抜式石棺など大型のものもみられ、また玄室部と墓道が一つになったような平面形を呈するもの、石櫃に火葬骨を納めるもの、ごく小さな横穴をうがって直接火葬骨を入れたものなどバラエティに富んでいる。火葬骨を納めた石櫃の一つに「若舎人」と彫込まれ、被葬者を知る重要な手掛りを与えている。大北横穴群の南に花坂はなざかの集落があるが、同地ではいくつかの古窯跡が確認されている。古窯跡のなかには未完成の瓶子がいくつか発見され、その完成品が沼津市の藤井原ふじいばら遺跡や富士市の東平ひがしだいら遺跡などにみられ、これらが花坂古窯跡で焼成されたことが明らかとなれば、生産・流通・消費の関係がより具体的になる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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