伊香立庄(読み)いかだちのしよう

日本歴史地名大系 「伊香立庄」の解説

伊香立庄
いかだちのしよう

比叡山の北方、現伊香立南庄いかだちみなみしよう町・伊香立生津いかだちなまづ町・伊香立向在地いかだちむかいざいじ町・伊香立下在地いかだちしもざいじ町・伊香立上在地町・伊香立北在地いかだちきたざいじ町などを庄域としていたと考えられる山間部の庄園。鎌倉時代には南・北両庄に分れていた。筏津(文保元年「伊香立庄民等訴懸条々目安案」葛川明王院史料)・筏立などとも記される。延暦寺の無動むどう寺領で、同寺が青蓮院門跡の管領下に入るに伴い同院を本所と仰いだ。立券の時期は不明であるが、「日吉社神道秘密記」には病平癒の祈祷に験のあった報償として、染殿后(清和天皇母)が当庄を無動寺を開いた相応に寄進したとみえる。中世においては、当庄と北の葛川かつらがわとの間で下立おりたて山の領域およびその領有をめぐって、度々境相論が繰返された(→下立山

「長秋記」保延元年(一一三五)八月二〇日条によると、無動寺僧が「近江伊賀多津庄」への「鳥羽鬘代料銅」の賦課免除を要請しており、同寺領であったことがわかる。なお「山槐記」元暦元年(一一八四)九月一五日条に載る「近江国注進風土記」には、志賀のうちとして「筏立郷」がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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