日本大百科全書(ニッポニカ) 「低融点ガラス」の意味・わかりやすい解説
低融点ガラス
ていゆうてんがらす
low melting glass
低融点の温度に関する厳密な定義はないが、ソーダ石灰(ソーダライム)系の通常ガラスや、金属、セラミックスなどの基材が耐えうる600℃以下程度の低温で軟化、変形、流動するガラスを一般的に低融点ガラスとよぶ。粉末状のものはガラスフリットともよばれる。樹脂等に比較して、ガラスは本質的に気密性、耐久性が高いため、高信頼性を必要とする電子部品の接合、封着、被覆に多く用いられている。封着用のガラスはシールガラス、セラミックス基板などの表面平滑性を得るための被覆用ガラスはグレージングガラスともよばれる。低融化するためのガラス成分として、従来、酸化鉛が多く用いられてきたが、環境負荷低減のため、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物、フッ素などを用いたガラスが開発されている。
[伊藤節郎]
『作花済夫・伊藤節郎・幸塚広光・肥塚隆保・田部勢津久・平尾一之・由水常雄・和田正道編『ガラスの百科事典』(2007・朝倉書店)』