酸化テルル(読み)サンカテルル

化学辞典 第2版 「酸化テルル」の解説

酸化テルル
サンカテルル
tellurium oxide

】一酸化テルル:TeO(143.60).黒色の無定形粉末.空気中,常温で安定であるが,熱すると不均化しやすい.【二酸化テルル:TeO2(159.60).テルルを熱硝酸で処理してHNO3・2TeO2とし,これを熱して硝酸を除いて得られる.不揮発性の白色の固体.350 ℃ 以下で得られるものは正方晶系ルチル型構造.密度5.66 g cm-3(0 ℃).350 ℃ 以上の高温で得られるものは斜方晶系(板チタン石に似る).密度5.89 g cm-3(0 ℃).一定の融点を示さず733 ℃ 付近で暗黄色液体になる.水に難溶.両性酸化物で,濃強酸と作用してTe2O3(OH)NO3のような水酸化物塩を,また強アルカリ水溶液では亜テルル酸塩を生じる.酸化剤,光触媒,電子材料,光偏光素子,光記録素子材料(光ディスクメモリー)などに用いられる.[CAS 7446-07-3]【】三酸化テルル:TeO3(175.60).α-TeO3オルトテルル酸Te(OH)6を360 ℃ 以上(赤熱以下)で加熱脱水して得られる.橙色の粉末.密度5.075 g cm-3(15 ℃).200 ℃ で青変し,400 ℃ 以上で二酸化テルルと酸素に分解する.冷水,希アルカリには難溶であるが,熱水には溶けてふたたびオルトテルル酸となる.強塩基水溶液には溶けてテルル酸イオンを生じる.熱塩酸には強酸化剤としてはたらき,塩素を放って二酸化テルルと四塩化テルルになる.β-TeO3はオルトテルル酸Te(OH)6を長時間加熱脱水すると灰色の結晶性粉末として得られる.密度6.21 g cm-3.濃酸,濃アルカリ水溶液に不溶.400 ℃ 以上で二酸化テルルと酸素に分解する.[CAS 13451-18-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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