おおむね確定裁判を経ない数罪のうち、本来的一罪や科刑上の一罪でない複数の犯罪で、同時審判の可能性がある場合である。この可能性のない数罪は単純数罪にすぎない。併合罪は、ある人が数罪を犯した場合、各罪ごとに別々に刑を適用するのではなく、これらの罪のうち、同時審判の可能性があるとき、またはあったときには、これらに対し一括して刑を適用することが合理的である、という考え方に基づく。そこで、刑法第45条は確定裁判を経ない数罪を併合罪とするほか、ある罪につき禁錮以上の刑に処する確定裁判があった場合、ただその罪と、その裁判の確定前に犯した罪とを併合罪と規定している。併合罪の処断の仕方には、もっとも重い罪の刑を科す吸収主義、もっとも重い罪の刑に一定の加重を施す加重主義、各罪ごとに刑を定めこれを併科する併科主義の3種がある。わが国の刑法は加重主義を原則とし、吸収主義と併科主義を補充的に採用している。
[名和鐵郎]
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…第2は,2個以上の犯罪が成立するが,それぞれが手段・結果の関係に立つ場合であり,〈牽連(けんれん)犯〉と呼ばれる(54条後段)。判例によれば,住居侵入と窃盗・強盗・殺人・放火,文書偽造と同行使,偽造文書行使と詐欺等が牽連犯とされているが,預金通帳の窃盗とこれを用いて預金を引き出す詐欺,保険金目的の放火と保険金の詐取,窃盗教唆と盗品故買等は次に述べる併合罪と解されている。 実体法上も科刑上も数罪であって,かつ,確定裁判を経ないため,同時審判の可能性を有する数罪を〈併合罪〉と呼ぶ(45条前段)。…
…死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料の6種のほか,付加刑たる没収がある)が一種であれば問題ないが,複数の刑種が選択的に規定されている(ときには併科規定もある)場合には,そのどれかが選択される。次いで,(1)再犯加重,(2)法律上の減軽,(3)併合罪加重,(4)酌量減軽の順によって加重減軽がほどこされる(刑法72条)。 (1)再犯加重とは(3犯以上の場合にも同じ――総称して累犯という),前に懲役に処せられた者が,その執行を終わりまたは執行の免除を受けた日から5年内に,さらに罪を犯して有期懲役に処すべき場合,長期が2倍となることをいう(56条以下)。…
※「併合罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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