通常の不服申立ての方法(上訴)をもって、訴訟関係人が攻撃することのできない状態に達した判決(形式的確定力を有する判決)をいう。
[内田一郎]
刑事訴訟法では、第一審および第二審の判決は、判決が告知された日から上訴の提起期間(14日)を経過することによって確定し(刑事訴訟法358条、373条、414条)、あるいは、上訴の放棄または取下げにより確定する(同法359条、360条)。ただし、死刑または無期の懲役もしくは禁錮に処する判決に対する上訴は、これを放棄することができない(同法360条の2)。さらに、第一審および第二審の判決に対して上訴がなされたときは、上訴棄却の裁判の確定により、原判決も確定する(同法375条、385条、386条、395条、396条、408条、414条、422条)。上告裁判所の判決は、判決訂正申立ての期間内(原則として、判決の宣告があった日から10日以内)に検察官、被告人または弁護人から判決訂正の申立てがあった場合には、訂正の判決もしくは申立てを棄却する決定があったときに確定する。また、申立てがなかった場合には、判決訂正申立ての期間を経過したときに確定する(同法418条)。何人(なんぴと)も、すでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われないし、また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われることがない(憲法39条)。事件が有罪、無罪または免訴の確定判決を経たものであるときは、判決で免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条)。
確定判決は、前記のように訴訟法上の効力として、当該判決を通常の不服申立ての方法をもって、訴訟関係人が攻撃することのできない状態にする(判決の形式的確定力)ばかりでなく、それが実体裁判であれば、実体法上の効力として具体的刑罰権の存否を確定し、かつ、有罪判決であれば、執行力を生じる。また、有罪、無罪または免訴の確定判決は後訴に対する訴訟法上の効力として、同一の訴訟客体について再度の審理、判決を否定し(一事不再理)、他面、後訴において確定判決の内容を主張し、裁判所ならびに当事者を拘束する効力を生ずる。
なお、略式命令は、正式裁判の請求期間(その告知を受けた日から14日)の経過またはその請求の取下げにより、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも同様である(刑事訴訟法470条)。確定判決に対する非常救済手続としては、事実認定の不当を理由とする再審請求(同法435条以下)と、法令の違反を理由とする非常上告(同法454条以下)とがある。
[内田一郎・田口守一]
民事訴訟法では、確定判決はその内容にしたがって、既判力、執行力ならびに形成力を生ずる。和解または請求の放棄もしくは認諾を調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法267条)。確定判決は主文に包含するものに限り既判力を有し(同法114条1項)、当事者、口頭弁論終結後の承継人またはその者のため請求の目的物を所持する者などに対してその効力を有する(同法115条)。確定判決に対する民事特別訴訟手続としては、再審の訴えがある(同法338条以下)。
[内田一郎・田口守一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(2)形式的確定力 判決宣告(言渡し)後,上訴によってその判決を争いえなくなった状態を,判決が(形式的に)確定したといい,それによって生じた効力を形式的確定力という。また確定した判決を,確定判決とよぶ。形式的確定力は,最終審の判決のように,もはや上訴の許されない判決では,判決宣告(言渡し)のとき,上訴が許される判決では,上訴期間の徒過,上訴権の放棄,(上訴期間経過後の)上訴の取下げ,上訴棄却判決の確定のときに生じる。…
※「確定判決」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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