日本大百科全書(ニッポニカ) 「保健機能食品制度」の意味・わかりやすい解説
保健機能食品制度
ほけんきのうしょくひんせいど
いわゆる健康食品のうち、国が定める有効性や安全性の基準を満たした食品に対して、特定の保健機能をもつ「保健機能食品」と表示することを認める制度。この制度に関連する業務は、以前は厚生労働省の管轄であったが、2009年(平成21)9月から消費者庁へ移管された。不適切な品質表示および摂取方法の広告・宣伝などにより、消費者に健康上の被害をもたらさないよう正しい情報提供を行い、消費者が自らの判断に基づき安心して食品を選択できるようにする目的で、規格基準や表示基準を定めている。保健機能食品とは、血圧を安定させる、食後の血糖値上昇を緩やかにする、整腸作用を助けるなど、特定の保健機能を有する成分を摂取することを目的とする食品(錠剤やカプセルも含む)をさし、適切に摂取すれば国民の健康の維持増進などに寄与することが期待できると考えられる。なお、食品と薬品の食薬区分の規制緩和に伴い、それまで医薬品とされてきたビタミンやミネラルなどを食品として販売できるようになったが、医薬品としての表示はできない。
保健機能にはさまざまなものがあり、含まれる成分も多岐にわたる。保健機能食品を販売するにあたっては、含まれる成分の表示と消費者への注意喚起が義務づけられ、国の許可が必要な場合や食品の機能などの違いによって、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」に分けられていたが、2014年度の規制緩和によりこれに「機能性表示食品」が加えられることになった(制度開始は2015年4月)。
「特定保健用食品」は、血圧を安定させる、整腸作用を助けるなど、摂取したときに特定の保健目的が期待できる旨の表示をすることができる食品で、「トクホ」などと略称される。食品衛生法上の規定もあり、個別に有効性や安全性が審査されて許可される。「栄養機能食品」は、ビタミンやミネラルなどの栄養成分を補うことを目的とした食品で、含有栄養成分量などが国の定めた規格基準に適合していれば、許可申請や届出をせずに栄養成分の機能を表示し製造・販売ができる。「機能性表示食品」は、事業者の責任において食品の安全性や機能性の科学的根拠を明らかにし、消費者庁長官に届け出るもので、根拠を明確にできれば効能を表示して自由に販売することができる。これらに属さない栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品などの健康食品は一般食品に分類される。
[編集部 2016年9月16日]