家庭医学館 「先天性肥厚性幽門狭窄症」の解説
せんてんせいひこうせいゆうもんきょうさくしょう【先天性肥厚性幽門狭窄症 Congenital Hypertrophic Pyloric Stenosis】
胃の出口にある幽門(ゆうもん)部の筋肉(輪状筋(りんじょうきん))が異常に厚くなり(肥厚(ひこう))、通り道が狭くなって、ミルクが通りにくくなったものです。初めての男児に多いといわれています。
[症状]
十分にミルクを飲み、体重も順調に増えていた赤ちゃんが、生後2週ごろからミルクを飲んだ後に嘔吐(おうと)をするようになります。
口と鼻の孔(あな)から噴水のようにぴゅーっと吐(は)きます。吐いたものに緑色や茶色の胆汁(たんじゅう)がまざっていないことが特徴です。
吐くとおなかが空くので、すぐにミルクを欲しがって泣きますが、与えるとまた吐きます。
しだいに栄養不良となって体重が減少し、手足やくびの皮膚にしわがよってきます。脱水のために尿量も減ってきます。
[検査と診断]
胃の動き(蠕動(ぜんどう))が外から見え、触診すると幽門部の腫瘤(しゅりゅう)(こぶ状のかたまり)を触れることで診断がつきます。
腫瘤が触れにくいときは、超音波検査で腫瘤の存在を確認します。
[治療]
胃液を多量に嘔吐しているために、血液の電解質のバランスがくずれ、アルカリ性に傾いているので、輸液を行なって、これを是正した後に、肥厚した輪状筋を切開する手術をします。