先尾翼機(読み)せんびよくき(英語表記)canard wing plane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「先尾翼機」の意味・わかりやすい解説

先尾翼機
せんびよくき
canard wing plane

水平安定板昇降舵(だ)を組み合わせた翼を胴体前部に取り付けた航空機。揚力を生じる主翼は胴体後方に置かれることになり、普通の航空機とは翼の配置が逆になった形となる。

 縦の安定性や操縦性が優れているため、機体構造が軽くできるので、ライト兄弟の飛行機をはじめ現代でも人力飛行機や超軽量航空機などに用いられる。ただし、垂直安定板方向舵は不安定要素が大きくなるため、胴体前方に取り付けたものはなく、ほとんどは重心位置に近い胴体後端や翼端などに取り付けているので、方向の安定性や操縦性はよくないとされる。それを補うためには垂直尾翼面積をきわめて大きくする必要があり、空気抵抗の増大などで利点はかなり割引される欠点がある。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「先尾翼機」の意味・わかりやすい解説

先尾翼機
せんびよくき
canard airplane

普通の飛行機と反対に,主翼が後方にあって,尾翼に相当する安定板と操縦用舵面を合わせた小翼が前方に配置された形式の飛行機。この小翼をカナード翼ともいう。尾翼式の飛行機に対して,安定性などの空力特性が若干劣るが,主翼の揚力を補強する,悪質な失速に陥らないなどの利点も多い。初期ライト・フライヤーサントスデュモン機(→サントス=デュモン)がこの形式だが,あまり実用化されていない。

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