改訂新版 世界大百科事典 「光州学生運動」の意味・わかりやすい解説
光州学生運動 (こうしゅうがくせいうんどう)
1929年11月から翌年春にかけて全羅南道光州をはじめ朝鮮各地で展開された反日学生デモ,同盟休校をいう。光州で日本人中学生が朝鮮人女学生に侮蔑的発言をしたことが発端となって,11月3日光州高等普通学校などの朝鮮人学生がデモを行った。その後も〈植民地奴隷教育制度撤廃〉を掲げた反日示威が続き,官憲は消防隊,在郷軍人をも動員して弾圧を加えた。12月には新幹会本部が〈民衆大会〉を開いて全国的闘争に拡大しようとして弾圧されたが,学生デモは各地に広がり,翌年3月までに194校,約6万人が参加した。この運動の背景には読書会などを通じて社会主義思想が学生の間に浸透していたことが指摘される。三・一独立運動(1919)後の反日示威として最大のものであり,現在でも11月3日には南北朝鮮で記念式が開かれている。
執筆者:水野 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報