デジタル大辞泉
「でも」の意味・読み・例文・類語
でも[接助・係助]
[接助]《接続助詞「ても」が、ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞に付く場合の形》「ても」に同じ。「死んでも死にきれない」「いくら呼んでも返事がない」
[係助]《断定の助動詞「だ」の連用形+係助詞「も」から》名詞または名詞に準じる語、助詞に付く。
1 物事の一部分を挙げて、他の場合はまして、ということを類推させる意を表す。…でさえ。「子供でもできる」「昼前でも気温が三〇度ある」
2 特別のもののようにみえる事柄が、他の一般の場合と同じであるという意を表す。たとえ…であっても。「強いといわれている人でも病気には勝てない」「今からでもがんばろう」
3 物事をはっきりと言わず、一例として挙げる意を表す。「けがでもしたら大変だ」「兄にでも相談するか」
4 (不特定をさす語「なに(なん)」「だれ」「いつ」「どこ」などに付いて)すべてのものにあてはまる意を表す。「なんでも食べるよ」「だれでも知っている」
[類語](3)など・とか・なんか・なんて・なんぞ・なぞ
でも[接頭]
[接頭]職業・身分などを表す語に付く。
1 名ばかりで実質がそれに伴わない意を表す。「でも学者」「でも紳士」
2 ほかに能力がないので、やむをえずその職に就いているという意を表す。「でも先生」
[補説]1は「あれでも学者か」などという場合の「あれでも」の略。2は「先生にでもなるか」という場合の「…にでもなるか」というところから出たといわれる。
で‐も[連語]
[連語]
《格助詞「で」+係助詞「も」》…においても。「これはあの店でも売っている」
《打消しの接続助詞「で」+係助詞「も」。動詞の未然形に付く》…なくても。「言わでものこと」
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で‐も
- [ 1 ]
- [ 一 ] 打消の意を含む接続助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。動詞の未然形に付く。…なくても。また、「言わでものこと」のように、「でも」のあとに「あるべきこと」「よいこと」などを略して、「言わなくてもよいこと」の意を表わすことがある。
- [初出の実例]「霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに」(出典:枕草子(10C終)一)
- [ 二 ] 断定の助動詞の連用形「で」に、係助詞「も」の付いたもの。…であっても。
- [初出の実例]「なに事でもおぼしめさん御事をばうけ給はって申せ」(出典:平家物語(13C前)一〇)
- [ 三 ] 格助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。…においても。
- [初出の実例]「弓矢とりはいささかの所でも思ひでの詞をば、かねてつがひおくべきで候ける物かな」(出典:平家物語(13C前)七)
- 「売り買い高い世の中でも、金とたわけは沢山なと」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)中)
- [ 2 ] 〘 接続詞 〙 ( 「それでも」の略 ) 前の事柄に対し、後の事柄が反対・対立の関係にあることを示す。また、相手のことばを受けて、不満を示したり反論したりする時に用いる。だけど。
- [初出の実例]「『気を短くせずと、もちゐと、ゐなんし』『でもあまり、おもしろないぞ』」(出典:洒落本・遊子方言(1770)更の体)
- 「多くもない貯叢(たくはへ)をゲッソリ遣ひ減らして、今は残り少なになる。デモ母親は男勝りの気丈者」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
- [ 3 ] 〘 副詞助 〙 ( [ 一 ]が一語化したものという ) 体言あるいは体言と同資格の語、体言に「が」「を」以外の格助詞の付いたもの、接続助詞「て」などをうける。
- (イ) 特にそれと限定するのではなく、一例として挙げる。…か何か。→補注( 2 )。
- [初出の実例]「ざうたんに申いって、おちゃでも申さいで、おのこりおほい」(出典:虎明本狂言・餠酒(室町末‐近世初))
- 「『ねなすんな』『おきてすわってでもいやしゃう』」(出典:洒落本・娼註銚子戯語(1780))
- (ロ) ( 「なに」「だれ」「いつ」「どこ」などの語について ) すべての場合を肯定することを表わす。「なんでも食べられます」「だれでもいい」「どこへでも行く」など。なお、「なぜでも」「どうしてでも」は、理由を問われて答えを拒否するのについて用いる。
- (ハ) ( 軽重優劣いずれの方向にも ) 極端な場合を提示し、他の場合は勿論である、の意を言外に表わす。…でさえ。
- [初出の実例]「世に出なば百両でもださふ程に」(出典:歌舞伎・傾城暁の鐘(徳川文芸類聚所収)(1708)中)
- 「奥の間の最も煙に遠いところでも、〈略〉板の木目も判らぬ程黒い」(出典:野菊の墓(1906)〈伊藤左千夫〉)
- [ 4 ] 〘 接頭語 〙 ( 「あれでも」の意からという ) 職業や身分などを表わす語に付き、未熟なもの、信頼できないもの、無価値なものの意を表わす。「でも医者」「でも客」「でも坊主」など。
- [初出の実例]「泥棒でもさして見様と云ふのでデモ泥棒と云ふので御坐います」(出典:落語・閉込み(1897)〈三代目柳家小さん〉)
でもの補助注記
( 1 )[ 一 ]の用法で、[ 二 ]と[ 三 ]との境界は必ずしも明らかにはし難い。
( 2 )[ 三 ](イ)の用法で、特にどれと指定しないで、漠然と例示する場合には、必然的に軽いものが提示されることが多く、自然と価値の低いものという感じを伴う。
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世界大百科事典(旧版)内のでもの言及
【集会の自由】より
…アメリカ憲法の強い影響を受けた日本国憲法は英米型であり,その21条1項で〈集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由〉としてこれを保障した。なお,デモンストレーションいわゆるデモも,動く集会と考えられ,表現の自由の保護を受ける。 明治維新以後の日本では,とくに自由民権運動の活動が集会条例などで厳しく抑圧され,また,明治憲法29条にいう集会の自由も〈法律ノ範囲内〉に限定され,治安警察法は,集会や集団行動の開催,参加者,内容上の制約などを詳細に規定していた。…
【デモンストレーション】より
…力のあること,用意のあること,支持勢力のあることなどを集団的に示すことによって,その対象に心理的圧力を加えること。一般に〈デモ〉ともいわれる。今日,デモという用語は,政府や経営者に対して要求をもつ国民や労働者による示威行進paradeの意で用いられることが多い。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」