光州(読み)クワンジュ(その他表記)Kwangju

デジタル大辞泉 「光州」の意味・読み・例文・類語

クワンジュ【光州】

大韓民国南西部にある広域市。全羅南道の道都。1929年に反日民族解放運動光州学生運動、1980年に光州事件が起こった地。人口、行政区145万(2008)。こうしゅう。クアンジュ。

こうしゅう〔クワウシウ〕【光州】

クワンジュ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「光州」の意味・読み・例文・類語

こうしゅうクヮウシウ【光州】

  1. 朝鮮半島南部、全羅南道の道都。繊維工業発達。「森の都」といわれ教育機関が多い。クァンジュ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「光州」の意味・わかりやすい解説

光州 (こうしゅう)
Kwangju

韓国,全羅南道中央部の都市。人口135万2797(2000)。1986年直轄市(1995年広域市と改称)に指定された。同道の道庁所在地である。栄山江流域の羅州平野の北東辺に位置し,古くから地方の行政・軍事要衝となってきたが,日本植民地時代には米の増産綿花養蚕など植民地的な農業開発の拠点となり,物資の集散地として商業が発達した。また各種の教育機関が集中的に設立されて,近代的な労働者の育成が進められる一方,民族意識が芽生える契機となった。このような背景のもとで1929年11月,全国的な反日運動の導火線となった光州学生運動が発生した。

 独立後,人口は1960年に31万5000人,70年に50万3000人,80年には70万人をこえて急膨脹したが,工業部門には目だった発達がみられず,商業,行政,教育などサービス部門に偏った都市形成が進んだ。1970年代にも湖南高速道(大田~光州)と南海高速道(釜山~光州)の接点となり,交通の要衝としての地位がいっそう高まった。しかし工業部門では,造成された光州工業団地も,従業員2500人規模の亜細亜自動車一社でその敷地大半を占めてしまう程度のものであった。全羅道出身の野党大統領候補金大中を含む多数の国会議員が逮捕された軍事クーデタを契機として,1980年5月におきた光州事件(5月18~27日,公式発表で死者174名を出した反政府デモ)の底には,産業開発上のこのような冷遇に対する市民の不満があったとされている。80年代以降,韓国内で相対的に低い賃金を求めて電子工業など多数の企業が進出し,工業地帯が拡大した。農業部門では,70年代の国家的大事業であった栄山江の流域開発が完了し,羅州平野の水田農業は年来の痼疾的な干害から解放され,耕地整理や機械化の進展により韓国の先進地域となっている。

 光州事件について95年〈光州事件特別法〉が制定され,97年全斗煥,盧泰愚元大統領らに有罪判決があった。同年,光州事件の5月18日は国家記念日となる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「光州」の意味・わかりやすい解説

光州【こうしゅう】

韓国,全羅南道の道都,五大広域市の一つ。栄山江の支流光州川平野の扇頂部にあり,羅州平野の北東部と山岳地帯の境界にある。北側に無等山(1187m)がそびえる。三国時代から全羅道の政治・文化の中心地で,市民の教育熱の高いことで有名。製糸・紡績工業が発達している。日本の植民地時代には米の増産や,棉花,養蚕の植民地的な農業奨励の拠点となったが,民族意識が高く,1929年反日光州学生事件が起こり,朝鮮全土に波及。また1980年5月,軍事クーデタに抗議するデモ隊を戒厳軍が武力鎮圧し,多数の死傷者を出した(光州事件)ことでも知られる。もともとは農業などを産業の中心とする都市だったが,近年は先端科学工業団地など,電子・機械・繊維関係産業の発展が目立つ。また,1970年代に湖南高速道(大田〜光州)と南海高速道(釜山〜光州)の接点となり,のち大邱と結ぶ88オリンピック高速道も加わって交通の要衝としても地位を高めた。1995年から開催されている光州ビエンナーレは,国際現代美術展として世界的に有名。147万5745人(2010)。
→関連項目全羅南道和順

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「光州」の意味・わかりやすい解説

光州
こうしゅう / クワンジュ

韓国(大韓民国)、全羅南道(ぜんらなんどう/チョルラナムド)の中北部に位置する広域市。1986年、直轄市に昇格。95年、地方自治制度の改革により広域市となった。行政的に全羅南道から分離した現在も全羅南道の道庁所在地である。面積501.44平方キロメートル、人口135万0948(2000)。東の山間地帯と西の平野地帯の境界に位置し、光州川が市街地を貫流する。全羅南道の行政、文化、経済、教育の中心地で、各種教育機関がある。周辺地域では米、麦、大豆などの生産が多く、近郊農業が盛んで、特産の無等山茶が有名である。繊維、食品、自動車、化学などの工業が発達しているが、第三次産業の就業者人口が80%を超え、消費都市としての性格も強い。交通は高速道路でソウルや釜山(ふざん/プサン)に通じ、たいへん便利である。反日民族解放運動史上有名な光州学生運動(1929)の発生地として広く知られている。国立光州博物館には新安郡の海底から引き揚げた中国宋代(そうだい)陶磁などが展示されている。

[森 聖雨]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android