日本大百科全書(ニッポニカ) 「児童精神科医」の意味・わかりやすい解説
児童精神科医
じどうせいしんかい
小児・児童期におきる精神障害・行動障害の診断・治療を専門とする精神科医。専門学会である一般社団法人日本児童青年精神医学会(前身は1960年に設立された日本児童精神医学会)は、「多彩な問題行動や精神身体症状を検討し、発達レベル、気質、家庭、学校などでの行動を総合的に評価し、発達的視点を重視した診断・治療・予防をしながら、子どもの精神的健康の達成を図る(概略)」役割があるとしている。
対象となる病気等は、自閉症などの発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、拒食・過食症、うつ病、統合失調症などの精神障害から、いじめや暴力、薬物乱用、乳幼児の虐待や家庭崩壊まで広い範囲に及んでいる。
日本児童青年精神医学会の会員は約3750人(2015年4月時点)で、医師以外の職種の会員も含まれている。児童精神科の専門医に相当するのは学会認定医である。認定医の資格を得るためには、(1)2年以上の一般精神科、3年以上の児童精神科医経験を含む5年以上の臨床経験を有すること、(2)継続して5年以上日本児童青年精神医学会の会員であること、(3)認定試験に合格することが必要である。2015年(平成27)5月の時点で249人と少なく、児童精神科を標榜(ひょうぼう)する医療機関も十分とはいえない。
[田辺 功]