入り立つ(読み)イリタツ

デジタル大辞泉 「入り立つ」の意味・読み・例文・類語

いり‐た・つ【入り立つ】

[動タ四]
中にはいる。はいり込む。立ち入る。
「京に―・ちてうれし」〈土佐
親しく出入りする。親密になる。
「山の井の大納言は―・たぬ御兄おんせうとにても、いとよくおはすかし」〈・一〇四〉
学問芸能などに通じる。精通する。
何事も―・たぬさましたるぞよき」〈徒然・七九〉

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精選版 日本国語大辞典 「入り立つ」の意味・読み・例文・類語

いり‐た・つ【入立】

  1. 〘 自動詞 タ行四段活用 〙
  2. ある場所にはいりこむ。深くはいる。
    1. [初出の実例]「大君の 心を緩(ゆら)み 臣(おみ)の子の 八重柴垣 伊理多多(イリタタ)ずあり」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. 「河尻にふねいりたちて」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月七日)
  3. 親しく出入りする。親しく交わる。親しい関係にある。
    1. [初出の実例]「山の井の大納言は、いりたたぬ御せうとにても、いとよくおはすかし」(出典:枕草子(10C終)一〇四)
    2. 「かやうの物も、世の末になれば、上さままでも入たつわざにこそ侍れ」(出典:徒然草(1331頃)一一九)
  4. 物事に深く関係する。精通する。通じる。
    1. [初出の実例]「学問に心入れて遊びの道にもいりたち給へり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  5. 物事の状態が複雑になる。入り組む。入り込む。
    1. [初出の実例]「猶なほ入たちたる子細あるらむとて」(出典:御伽草子・あしびき(室町中))

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