入込(読み)いりこむ

精選版 日本国語大辞典 「入込」の意味・読み・例文・類語

いり‐こ・む【入込】

〘自マ五(四)〙
[一] ある限られた場所や物の中にはいる。はいりこむ。
① (はいる動作に重点がおかれる場合) はいっていく。無理に、ひそかに、などの気持がこめられることが多い。
蜻蛉(974頃)上「何の丞(ぞう)の君などいふ者ども、轅(ながえ)、鴟(とみ)の尾の中にいりこみて」
② (はいるのが完了したことに重点がおかれる場合)
(イ) すっかり中にはいる。はいって中におさまる。大勢が一つ所にはいる場合は、寄り集まって混雑する状態を表わす。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「鎌倉諸国のつきあひ晴がましく、人の入こむ事おほければ」
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉長崎遊学「奥平の世話で山本の家に食客に入込(イリコ)みました」
(ロ) ある社会にすっかり馴れ親しむ。
洒落本傾城買二筋道(1798)夏の床「ぬしたちのよふに入(イリ)こんでおいでなんすものをだれでもしらぬものはおっせんのさ」
[二] 物事の状態が複雑になる。こみいる。入り組む。
※俳諧・曠野(1689)員外「門を過行(すぎゆく)茄子よびこむ〈荷兮〉 いりこみて足軽町の藪深し〈亀洞〉」
※伊藤特派全権大使復命書附属書類(1885)談話筆記「就ては復た入り込みたる談論を要せざるべし」

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