茄子(読み)ナス

デジタル大辞泉 「茄子」の意味・読み・例文・類語

なす【茄子/×茄】

ナス科の多年草。栽培上は一年草。葉は大きな楕円形。夏から秋、紫色の花を開く。実を食用とし、果皮はふつう紫黒色で光沢があり、形は品種によって丸いものや細長いものなどさまざま。インド原産といわれる。なすび。 夏》「採る―の手籠てかごにきゅアとなきにけり/蛇笏
[補説]ナス科の双子葉植物は、約2000種が熱帯から温帯に分布し、中南米に多く、ナス・トマトジャガイモタバコチョウセンアサガオハシリドコロなども含まれる。
茶の湯で用いる茶入れの一。丸形で口もとがすぼみ、中央がふくらんだ形のもの。

なすび【茄子/×茄】

ナス別名 夏》
紋所の名。ナスの実・花・葉を組み合わせて図案化したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「茄子」の意味・読み・例文・類語

なすび【茄子・茄】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. なす(茄子)季語・夏 》 〔本草和名(918頃)〕
      1. [初出の実例]「先は、北野・賀茂河原につくりたる、まめ・ささげ・うり・なすびといふもの」(出典:大鏡(12C前)五)
    2. なす(茄子)
      1. [初出の実例]「くり色のたなの上に、なすひのつほ」(出典:宗達茶湯日記(他会記)‐天文一八年(1549)二月一三日)
    3. ( 形動 ) ( は安価で貧乏人でも食えるというところから ) まずしいことをいう。貧乏。貧窮。
      1. [初出の実例]「来ると其の儘盗人に、遭ふと云ふのはあたすかん、よくよくなすびな生まれ性」(出典:浄瑠璃・傾城阿波の鳴門(1768)五)
    4. 紋所の名。なすの果実・花・葉を組み合わせて図案化したもの。葉付き三つ茄子・茄子桐・三つ割り茄子など種々あり、その変形も多い。
      1. 葉付き三つ茄子@茄子桐
        葉付き三つ茄子@茄子桐

茄子の語誌

→「なす(茄子)」の語誌。

  1. [ 2 ] 狂言鷺流住職に秘蔵のなすびの番をいいつかった新発意(しんぼち)二人が、住職の留守にそのなすびを食べ酒盛りをする。

なす【茄子・茄】

  1. ( 「なすび」の変化したもの )
  2. ナス科の一年草。インド原産で、重要な果菜として古くから栽培される。高さ〇・六~一メートル。全体に細毛を密布。葉は長柄をもち、長さ一五~三五センチメートルの卵状楕円形で縁は波状。茎やがくにとげのあるものがある。夏から秋にかけ、先が七~八裂した径約三センチメートルの淡紫色の花が咲く。果実は楕円形・長楕円形・球形などさまざまで、色も紫黒・紅紫・紫・白色など品種によって異なり、煮たり漬けたり揚げたり、さまざまの調理法で食べる。漢名、茄。なすび。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「松木よりなすの小折まいる」(出典:御湯殿上日記‐文明一五年(1483)五月一五日)
  3. ( 形が似ているところから ) 茶入れの一種。口元がすぼみ、胴がふくらんだ形のもので、数少なく、唐物(からもの)の最上品とする。なすび。

茄子の語誌

古くはナスビといったが、その語末のビは、アケビ(木通)、キビ(黍)などの植物名に通じるものか。後に、挙例の「御湯殿上日記」などに見られる女房詞の「ナス」が全国的に広まり、近代以降はナスが主流となる。ただ、現在でも西日本ではナスビ、東日本ではナスの形を用いる傾向が見られる。

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普及版 字通 「茄子」の読み・字形・画数・意味

【茄子】かし

なす。

字通「茄」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「茄子」の解説

茄子 (ナス・ナスビ)

学名:Solanum melongena
植物。ナス科の一年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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