全人(読み)マトウド

デジタル大辞泉 「全人」の意味・読み・例文・類語

まとうど〔またうど〕【人】

[名]欠点のない完全な人の意から》正直者律義者
むこ殿は―ぢゃと聞いたが」〈虎寛狂・音曲聟〉
[形動ナリ]ばかなさま。ぬけているさま。とんま。
「―な犬ふみつけて猫の恋/芭蕉」〈茶の草子

ぜん‐じん【全人】

知識・感情・意志の調和のとれた人。

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精選版 日本国語大辞典 「全人」の意味・読み・例文・類語

まとうどまたうど【全人・真人】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 「またい(全)人」の意の「またびと」の変化したもの ) 純朴で正直な人。きまじめな人。また、度を過ぎて律義な人。愚直な人。まとうもの。
      1. [初出の実例]「またうどをたのうで透らうとすればならぬぞ」(出典:両足院本周易抄(1477)四)
      2. 「唯仏のやうなるまとうどなり」(出典:幸若・烏帽子折(室町末‐近世初))
    2. 一般庶民で、独立した生活を営むもの。
      1. [初出の実例]「殿原も全人(マタウド)衆も」(出典本福寺跡書(1560頃)妙専尼懐妊夢相之事)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 愚直なさま。とんま。
    1. [初出の実例]「まとふどな犬ふみつけて猫の恋〈芭蕉〉」(出典:俳諧・茶のさうし(1699))

ぜん‐じん【全人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 知識・感情・意志の調和した円満な人。完全な人格を備えた人。また、五体が完全な人。
    1. [初出の実例]「不小過則下無全人(センジン)〔范氏〕」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. 「全人たらんと欲するは素と天晴なる心掛なり」(出典:智慧袋(1898)〈森鴎外〉無過の金箔)
    3. [その他の文献]〔荘子‐徳充符〕
  3. 人の全体。人のすべて。
    1. [初出の実例]「このゆゑに全人は心なり、全心は人なりとしりぬべし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)徧参)

また‐うど【全人】

  1. 〘 名詞 〙まとうど(全人)

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普及版 字通 「全人」の読み・字形・画数・意味

【全人】ぜんじん

全徳の人。〔荘子、庚桑楚〕夫(そ)れ天に工(たく)みにして人に(よ)きは、唯だ人のみ之れを能(よ)くす。

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