デジタル大辞泉
「全」の意味・読み・例文・類語
ぜん【全】
[名]
1 欠けたところがないこと。すべてであること。
2 本の巻数や冊数などを表す語に先立って用い、その数ですべて、あるいはひとそろいであることを表す。「全三巻」「全五冊」
[接頭]名詞に付いて、すべての、全部の、の意を表す。「全学生」「全世界」「全責任」
うつ【▽全/▽空/▽虚】
[接頭]
1 (全)名詞に付いて、すっかり、全く、全部の意を表す。
「皮を―はぎに剝ぎて」〈記・上〉
2 (空・虚)名詞に付いて、うつろな、空虚な、の意を表す。
「―蝉はからを見つつもなぐさめつ深草の山煙だにたて」〈古今・哀傷〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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まったく【全】
- [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 形容詞「まったい」の連用形から )
- ① 完全にその状態であるさまを表わす。すべて。完全に。落度なく。
- [初出の実例]「弟の頼長公は、全(マッタク)経を宗とし世務きりとをしにて」(出典:静嘉堂本撰集抄(1250頃)六)
- 「まったく外界との交渉を絶たれた父が」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
- ② 特に、否定表現を伴って、完全な否定の気持を表わす。全然(…でない)。決して(…でない)。
- [初出の実例]「其の頭を鑊に入れて、七日煮るに、全く不乱ず」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
- ③ 自分がこれから示す判断、いま相手から聞いた判断が、嘘や誇張を含まない真実であることを、強める気持を表わす。ほんとうに。実際に。
- [初出の実例]「是等は決して西洋人のおかげといふではないが、全く交易のおかげではござらんか」(出典:交易問答(1869)〈加藤弘之〉下)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 すべて。全部。
- [初出の実例]「先づ腹部を切開して、それから胸腔に及んで、内臓の全くを露出する」(出典:解剖室(1907)〈三島霜川〉)
ぜん【全】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① すべてであること。
- [初出の実例]「半をとき、全をとくにしたしからず」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏向上事)
- ② 本の巻数や冊数などを示す語に先立って、その表わす数がひとまとまりであるの意を添える。「全十巻」「全五冊」など。
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙
- ① 身分や立場を示す名詞の上について、その立場にあるもののすべてという意を添える。「全学生」「全国民」など。
- ② 下にくる語の意味や内容のすべてを含んでいるという意を添える。「全世界」「全日本」「全収入」「全責任」など。
- [初出の実例]「全地球上一切情界のみ」(出典:花柳春話〈織田純一郎著者>訳〉題言(1878‐79)〈<著者>成島柳北〉)
うつ【全・空・虚】
- [ 1 ] 〘 造語要素 〙
- ① 名詞の上に付き、すべて、全部、すっかり、の意を添える。ごく古い時期に使われた語で、用例は少ない。「うつぬき」「うつはぎ」「うつはた」など。
- ② 名詞の上に付けて、空虚なこと、からっぽである意を添える。「うつせみ」「うつき」「うつじん」「うつゆう」など。
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 「うつけ(空)」の略 ) うっかり者。おろか者。ぼんやり。
- [初出の実例]「それがしとても、秤目知らぬほどの虚(ウツ)でもなし」(出典:浮世草子・好色敗毒散(1703)四)
全の補助注記
[ 一 ]②の意の「うつ」は、なお「うつろ・うつせ貝」などに見られ、「うつく(うつける)」という動詞をもつくる。
まったき【全】
- 〘 連体詞 〙 ( 文語形容詞「まったし」の連体形から ) 完全な。欠けたところのない。文語的ないい方。
- [初出の実例]「人間の存在の自由のまったき証明を、彼はまだ思いもつかなかったのである」(出典:アカシヤの大連(1969)〈清岡卓行〉七)
まっとうまったう【全】
- 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 形容詞「まったい」の連用形から変化したもの ) まともなさま。実直であるさま。まじめ。
- [初出の実例]「まっとうにすりゃ本店も見ては居ず」(出典:雑俳・柳多留‐八(1773))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「全」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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