日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
全国電力関連産業労働組合総連合
ぜんこくでんりょくかんれんさんぎょうろうどうくみあいそうれんごう
10電力会社の労働組合および電力関連労働者を組織する労働組合から構成されている産業別労働組合。略称、電力総連。組合員数21万8979人、加盟単組約230(2011年3月時点)。日本労働組合総連合会(連合)加盟。
戦争直後に結成された日本電気産業労働組合協議会(電産)が、1952年(昭和27)の電産争議を通して分裂した際、1954年電産を脱退した勢力によって全国電力関連産業労働組合協議会連絡会(全国電労協)が結成された。1981年、全国電労協が中心となり、電工労連、全国検集労連、電保労連の4団体と地方電力総連10団体で、全国電力関連産業労働組合連合会(電力総連)を結成した。1987年全日本労働総同盟(同盟)の解散に伴い、新たに発足した全日本民間労働組合連合会に加盟した。
1993年(平成5)に電力総連はいったん解散し、197組合24万5000人による全国組織として一本化された新生の電力総連(名称は変わらず)を結成した。1996年に全日本電力労働組合協議会(全電力)との合併統合が始まり、1999年には全電力の単位組織すべてが電力総連のなかに統合された。
電力総連はエネルギー関連の基幹産業別組合として、その政策および行動において、労働界のみならず政界、産業界に大きな影響力をもっている。東京電力労組委員長を務めた笹森清(ささもりきよし)が、電力総連会長を経て連合事務局長のちに会長に選出された(2001)のはその一例である。政治的には民主党を支持し、組合推薦の国会議員らを擁している。
原子力発電に関しては長年それを推進する立場をとってきたが、2011年(平成23)3月に福島第一原子力発電所で放射性物質が漏出する事故が発生し、同年9月の定期大会では、「原発推進」の表現は運動方針から姿を消した。ただし、「脱原発」へ方針転換をしたわけではなく、原子力発電の必要性を訴えている。
[早川征一郎]