冥婚(読み)めいこん(その他表記)ming hun

普及版 字通 「冥婚」の読み・字形・画数・意味

【冥婚】めいこん

幽界。また、化生との結婚。鬼婚。〔旧唐書至忠伝〕庶人弟~洵と、至忠の女との爲に冥婚を爲さしめ、合す。氏の敗るるにんで、至忠を發(ひら)き、其の女の柩を持ちて歸る。人、此れを以て之れを(そし)る。

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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冥婚」の意味・わかりやすい解説

冥婚
めいこん
ming hun

かつての中国で行われていた婚姻の特殊な一形態。冥配,陰親,娶鬼妻ともいう。死者同士の婚姻をいい,少くとも漢代から存在し,民国に入っても広くみられた風習。男子は独身でも成年に達し死亡すれば祖先墳墓に葬られるが,なるべく夫婦一緒の形を整えようとするために冥婚が行われ,また特に未婚かつ未成年の死亡者は祖墳に入る資格がないので,これを冥婚によって人為的に成年として祖墳に葬らせた。未婚死亡の男のある家は,適当な相手を捜して仮埋葬された女の遺骸を掘起し,通常の嫁入り儀式になぞらえて男家の祖墳に合せて埋葬し,その後両家は親類づきあいをする。ただ冥婚の対象となるのはほぼ8歳以上の死亡者であった。礼制を乱すとして古くからしばしば非難されながら,事実は広く行われた。それは死者の霊が祀られるようにし,死者のために嗣子 (承継のための養子) を立てられるようにしようとする中国人の相続観念に由来する。

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世界大百科事典(旧版)内の冥婚の言及

【亡霊婚】より

…生まれた子は,この同棲者ではなく死者の子としての権利・義務をもつ。旧中国でも死後婚は〈冥婚〉と称され,さまざまな形で行われていた。夭折者どうし,あるいは婚約者が死亡して残された女子がそのまま彼の家に嫁入りする場合もあるが,最も盛んなのは未婚女子の霊を嫁入りさせる〈嫁殤(かしよう)〉ないし〈娶鬼妻〉である。…

※「冥婚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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