(読み)メイ

デジタル大辞泉 「冥」の意味・読み・例文・類語

めい【冥】[漢字項目]

常用漢字] [音]メイ(漢) ミョウ(ミャウ)(呉) [訓]くらい
〈メイ〉
暗くて見えない。「冥暗冥冥晦冥かいめい昏冥こんめい幽冥
道理に暗い。「頑冥
奥深い。心の奥底。「冥想
あの世。「冥界冥土冥福
〈ミョウ〉人知を超えた神仏の働き。「冥加冥護冥利

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精選版 日本国語大辞典 「冥」の意味・読み・例文・類語

みょうミャウ【冥】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. 闇黒。くらやみ。無知をいう。
    1. [初出の実例]「冥より冥(ミャウ)(〈注〉クラキ)にいりて、ながくほとけみなをきかず」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三)
  3. 暗くて目に見えないこと。人間には見聞できないこと。人知の及ばない霊威のはたらき。
    1. [初出の実例]「冥者為両部諸尊怨敵也。〈略〉顕者成法皇御願濫妨也」(出典:高野山文書‐建久元年(1190)一一月日・金剛峯寺根本大塔供僧解状案)
  4. 人の目には見えないところで人間世界を見ている神仏。
    1. [初出の実例]「御経の師、御戒の師、重科におこなはれん事、冥の照覧はかりがたし」(出典:平家物語(13C前)二)

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普及版 字通 「冥」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] メイ・ミョウ(ミャウ)・メン・ベン
[字訓] くらい・ふかい・はるか

[説文解字]
[その他]

[字形] 象形
幎冒(べきぼう)の形。死者の面を覆う巾(きれ)。〔説文〕七上に「窈(くら)きなり。日に從ひ、六に從ひ、冖(べき)聲。日の數は十、十六日にして始めて虧(か)け、冥(くら)きなり」(段注本)とする。字は全体が幎冒の象形。〔儀礼、士喪礼〕に「幎目(べきもく)には緇(くろ)を用ふ。方尺二寸、裏を(あか)くし、組(そけい)を(つ)く」とあり、字の下部はその組を垂れた象である。これによって幽冥のことが決するので、冥暗の意となり、死後のことを冥という。それより幽深・玄遠の意となる。

[訓義]
1. 死者の面を蓋う面衣、幎冒、おおう。
2. くらい、ふかい、おくぶかい、めにみえぬ。
3. とおい、はるか、かくれる、しずか、だまる、たちこめる、よる。
4. おろか、まよう。
5. 瞑(めい)と通じ、めがくらむ、めくるめく。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕冥 クラシ・ハルカニ・ソラニ・ワカシ・ヨル・ソムク・カナフ・サムシ・オク・タノム 〔字鏡集〕冥 クサノフカキナリ・カナフ・ソラニ・ハカル・サムシ・ワカシ・ハルカニ・クラシ・オク・ヨル・ソムク・タノム・フカシ

[声系]
〔説文〕に冥声として・瞑・幎・溟・螟など八字を録し、瞑・幎・溟などは、冥の声義を承ける字である。〔説文〕十三上に螟を亦声とするが、声義の関係は明らかでない。

[語系]
冥・瞑myengは同声。幎myekはその入声の字。瞑して幎を加え、これより冥暗の境に入る。冥はmong、(夢)・miung、mng、(冒)muの諸字と声義近く、すべて昧・幽暗の意を含み、一系の語である。

[熟語]
冥加・冥利・冥暗・冥衣・冥雨冥翳・冥応・冥奥・冥界・冥海・冥・冥会・冥感冥頑・冥願・冥器・冥屈・冥契・冥眩・冥鴻・冥合・冥婚冥昏冥索・冥・冥司・冥昭・冥心・冥数・冥寂・冥然・冥想・冥・冥中冥徴・冥土・冥途冥漠・冥・冥罰・冥府・冥福・冥報・冥冥昧・冥冥・冥迷・冥滅・冥・冥冥黙・冥佑・冥路・冥
[下接語]
冥・頑冥・穹冥・窮冥・愚冥・空冥・玄冥・高冥・鴻冥・昏冥・混冥・清冥・蒼冥・大冥・洞冥・南冥・冥・北冥・幽冥・杳冥・窈冥・

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