冬戦争(読み)ふゆせんそう(その他表記)Talvisota フインランド語

共同通信ニュース用語解説 「冬戦争」の解説

冬戦争

第2次大戦開始3カ月後の1939年11月、ソ連フィンランドに仕掛けた侵略戦争。フィンランドは徹底抗戦したが、国土の1割を割譲し、40年に講和。ソ連はその後も威嚇を続けたため、フィンランドはナチス・ドイツと協力し、2度目の対ソ戦(継続戦争)に突入。44年に休戦したが、再び領土割譲を強いられ、合わせて9万人規模の犠牲者を出した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「冬戦争」の意味・わかりやすい解説

冬戦争
ふゆせんそう
Talvisota フインランド語

1939~40年にフィンランドとソ連との間で行われた第一次のソビエト・フィンランド戦争。1939年ドイツの対ポーランド電撃戦が終了すると、ソ連はドイツとの秘密取決めに基づき西部国境の安全保障強化に着手し、レニングラード(現サンクト・ペテルブルグ)防衛の見地からフィンランドに領土交換要求を出した。フィンランド側では、パーシキビ、マンネルヘイム将軍などの妥協の必要を説く意見もあったが、政府は世論にも押されて強硬な態度をとり、スターリン自らが交渉に参加したにもかかわらず、モスクワ交渉は決裂した。まもなくソ連軍は、国境全線にわたって侵入を開始し、国境付近の村に亡命フィンランド共産党による「人民政府」をたて、本土政府を無視する態度をとった。圧倒的なソ連軍に対しフィンランド軍は緒戦善戦。国際連盟は39年12月、ソ連を追放してフィンランドを支援したが、期待したスウェーデン、ドイツからの援助は得られなかった。ソ連は戦局を有利にしつつあったが、英仏による干渉の動きをみてフィンランド本土政府との交渉に入った。40年3月モスクワ条約が締結され、フィンランドは大幅な領土割譲、軍事基地貸与を強いられた。

[玉生謙一]

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