ケントゥリア(読み)けんとぅりあ(英語表記)centuria ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケントゥリア」の意味・わかりやすい解説

ケントゥリア
けんとぅりあ
centuria ラテン語

古代ローマ軍団(市民による正規軍)の最小単位、および民会の投票単位。100を意味する。伝承によると、6代目の王セルウィウス・トゥリウスが創設した民会は、ローマ市民全体を193ケントゥリアに分け、各ケントゥリアが1票をもつ形で政務官magistratus選挙や法律の決定を行った。この民会(ケントゥリア民会という)では、騎兵が18、歩兵は5級(クラッシス)に分かれ、第1が80、第2、第3、第4が20、第5が30各ケントゥリアをもち、ほかに工兵、ラッパ手などが5ケントゥリアをもった。歩兵の5級別は財産額によった。この民会は軍隊集会という性格をもったから、元来は軍会であったものが、民会として発達したものと推定され、各ケントゥリアは元来百人隊提供義務をもったものであろう。そしてこのような複雑な構成は後世の発達した形で、共和政初期にはもっと単純な構成であったものと考えられる。古く王政時代には、クーリアがケントゥリア(百人隊)を提供し、ケントゥリア民会は紀元前241年以後に改革されてトリブスと関連づけられ、その形で共和政の間はローマのもっとも重要な民会であった。帝政期にはさらに形を変え、政治的重要性を失い、ただ穀物分配の基礎として用いられた。軍団の百人隊は、帝政末期まで存続した。このほかケントゥリアは、2ユゲラのヘレディウム(割当地)100という意味で現れ、公有地測量の単位として用いられた。

[弓削 達]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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