切上(読み)きりあげ

精選版 日本国語大辞典 「切上」の意味・読み・例文・類語

きり‐あげ【切上】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 切りをつけること。一段落つけてやめにすること。
    1. [初出の実例]「ちっと、きりあげの、あした又おしかけとしやう」(出典:洒落本・客衆一華表(1789‐1801頃)富岡之套)
  3. 計算で、概数の作り方の一つ。求めようとする位未満の端数を取り去り、求めようとする位に一を加えること。⇔切り捨て
  4. 通貨の対外価値を高くすること。「平価切り上げ」「円切り上げ」
    1. [初出の実例]「第二回は〈略〉六一年三月のマルクの五%切上げで終わるもの」(出典:現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉I )
  5. (はかま)やコートなどの前身頃の裾(すそ)をやや上方に斜めに切って、歩行の際の裾さばきをよくするもの。
    1. [初出の実例]「大人襠無し袴〈略〉後裾には、切り上げを附けなくともよいのであるが」(出典:専門教育裁縫全書(1925)〈東京女子専門学校・<著者>東京裁縫女子校編〉)
  6. 和船の船尾主要構成材である戸立(とだて)の部分名称。上棚を取り付ける上戸立側面と、中棚(三階造りの場合。二階造りではかじき)を取り付ける根戸立側面との交わる所のことで、約一四〇度の角度をもつ。あんこう、あんごの俗称がある。きり。〔諸関船秘書(1675)〕
  7. 歌舞伎のつけの打ち方の一つ。時代物幕切れに、俳優みえをきる時の打ち方。
    1. [初出の実例]「芸者来ってチリカラの乱拍子に、滑稽の席上、長からず又短からず、程よく切(キ)り上(ア)げの幕となって」(出典人情本風俗粋好伝(1825)後)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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