切上(読み)きりあがる

精選版 日本国語大辞典の解説

きり‐あが・る【切上】

〘自ラ五(四)〙
① すっかり晴れあがる。
歌舞伎処女評判善悪鏡白浪五人女)(1865)五「ほんの一降りで、西の方が切上りました」
② 仕事が終わる。
防雪林(1928)〈小林多喜二〉六「しなの皮はぎに雇はれるために、雪が降ったら出掛けることに決めてゐた。それが二月一杯できり上ると、余市の鰊場へ行くことになってゐた」
③ 計算で、求めようとする位未満の端数が、求めようとする位に一として加わる。
④ 通貨の対外価値が高くなる。

きり‐あげ【切上】

〘名〙
① 切りをつけること。一段落つけてやめにすること。
※洒落本・客衆一華表(1789‐1801頃)富岡之套「ちっと、きりあげの、あした又おしかけとしやう」
② 計算で、概数の作り方の一つ。求めようとする位未満の端数を取り去り、求めようとする位に一を加えること。⇔切り捨て
③ 通貨の対外価値を高くすること。「平価切り上げ」「切り上げ」
※現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉I「第二回は〈略〉六一年三月のマルクの五%切上げで終わるもの」
④ 袴(はかま)やコートなどの前身頃の裾(すそ)をやや上方に斜めに切って、歩行の際の裾さばきをよくするもの。
※専門教育裁縫全書(1925)〈東京女子専門学校・東京裁縫女子校編〉「大人襠無し袴〈略〉後裾には、切り上げを附けなくともよいのであるが」
⑤ 和船の船尾主要構成材である戸立(とだて)の部分名称。上棚を取り付ける上戸立側面と、中棚(三階造りの場合。二階造りではかじき)を取り付ける根戸立側面との交わる所のことで、約一四〇度の角度をもつ。あんこう、あんごの俗称がある。きり。〔諸関船秘書(1675)〕
⑥ 歌舞伎のつけの打ち方の一つ。時代物の幕切れに、俳優がみえをきる時の打ち方。
※人情本・風俗粋好伝(1825)後「芸者来ってチリカラの乱拍子に、滑稽の席上、長からず又短からず、程よく切(キ)り上(ア)げの幕となって」

きり‐あ・げる【切上】

〘他ガ下一〙 きりあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 一応そこで終わりにする。一段落をつける。
※殿村篠斎宛馬琴書簡‐文政五年(1822)閏一月一日「何分にも長き物にて、実は倦果候故、はやく切り上げ度存候へども」
② 計算で、求めようとする位未満の端数を取り去り、求めようとする位に一を加える。⇔切り捨てる
※不意の声(1968)〈河野多恵子〉「父は往復の旅費の端数を大きく切り上げたくらいの額のお金をくれるのだった」
③ 通貨の対外価値を高くする。「平価を切り上げる」「円を切り上げる」

きり‐のぼ・る【切上】

〘自ラ四〙
① 敵を切って目的の方へ進んで行く。切って攻めのぼる。
※平家(13C前)一「いひつるものならば、殿上までもやがてきりのぼらむずる者にてある間」
② 敵を切って都の方へ進んで行く。
※玉塵抄(1563)一五「安祿山が天宝十四年めに〈略〉みやこゑきり上(ノぼっ)たぞ」

きれ‐あが・る【切上】

〘自ラ五(四)〙
① 上の方へ切れる。また、目じりや額(ひたい)のはえぎわなどが上の方へあがっている。
※洒落本・後編風俗通(1775)六風「威風〈略〉腰細く小脵(こまた)切れ上り」
② 雲が切れ、空が晴れてくる。
※歌舞伎・夢結蝶鳥追(雪駄直)(1856)三幕「おお、西の方が切れ上って来た」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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