日本大百科全書(ニッポニカ) 「初節供」の意味・わかりやすい解説
初節供
はつぜっく
生児が初めて迎える節供のこと。女児には三月節供に雛(ひな)人形、男児には五月節供に武者人形や幟(のぼり)を、里方や親戚(しんせき)その他から贈られるので、返しに招客したり、菱餅(ひしもち)や粽(ちまき)、柏餅(かしわもち)を贈る。しかし、古くは3月と5月の節供を男女に区別せず、3月の初節供に男女ともに里方や親戚から初雛、初天神の泥人形を贈る習わしが多かった。静岡県では、男児の五月初節供にハツアゲといって、凧(たこ)を揚げる風習があり、町内の若者がこれを祝ってくれる。また七夕(たなばた)、八朔(はっさく)、亥(い)の子などの節供に男女児を祝う風は各地にあり、栃木県の旧安蘇(あそ)郡田沼町(現佐野市)では八朔の初節供に男児のある家へキンコマという馬上の武者人形を贈る習慣があった。初正月に男児には破魔矢(はまや)・弓、女児には羽子板(はごいた)・手毱(てまり)を贈ることは全国的に行われている。
[大藤時彦]