則天去私(読み)ソクテンキョシ

大辞林 第三版の解説

そくてんきょし【則天去私】

夏目漱石が晩年理想とした心境。我執を捨て、諦観ていかんにも似た調和的な世界に身をまかせること。「明暗」はその実践作とされる。

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精選版 日本国語大辞典の解説

そくてん‐きょし【則天去私】

連語〙 天にのっとって私心を捨てること。我執を捨てて自然に身をゆだねること。晩年の夏目漱石が理想とした心境で、「大正六年文章日記」の一月の扉に掲げてあることば

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世界大百科事典内の則天去私の言及

【儒教】より

…他方民間では明治中期に東正堂によって雑誌《陽明学》が刊行されて陽明学の再興運動が行われ,陽明学は思想としては近代において最も大きな力をもつ儒教となった。また実業家の中には渋沢栄一のように儒教と士魂と近代資本主義とを結びつけようとした者もいたし,夏目漱石のような近代的作家でもその晩年には〈則天去私〉のことばを残している。昭和になって戦雲が濃くなったとき儒教にもとづく戦争協力の団体もつくられるなど,儒教と近代日本との関わりは複雑であった。…

【夏目漱石】より

…晩年の漱石は,自伝的小説《道草》(1915)で過去の自己を俎上に,その意味を問い,《明暗》(1916)で老練な作家的技量を駆使した最大の長編を書きすすめたが,胃潰瘍の発作のため未完のまま永眠した。漱石最晩年の心境として〈則天去私〉が有名だが,漱石自身に格別の説明はない。《明暗》に暗示されている作家的自由の境地や並行して書かれた漢詩群に即して考えるべきで,固定的な理念とみるのは,晩年の漱石の実像にそぐわない。…

※「則天去私」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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