改訂新版 世界大百科事典 「労働解放団」の意味・わかりやすい解説
労働解放団 (ろうどうかいほうだん)
Gruppa Osvobozhdenie truda
1883年にジュネーブで旗揚げしたロシアで最初のマルクス主義の理論構築および宣伝の組織。プレハーノフを中心に,ザスーリチ,アクセリロード,L.G.デーイチ,V.N.イグナトフによって構成された。人民の意志派の社会主義への直接的移行論に反対して,プロレタリアートを主体にした,資本主義,市民社会を経由した社会主義の実現という二段階革命論を主張した。ロシア国内の資本主義発達が顕著になるにつれて影響力を増大し,さまざまなマルクス主義的傾向の革命組織,労働者組織の形成を助長した。89年から第二インターナショナルに加入。20世紀初頭にレーニンとともに《イスクラ》紙を発行するが,自由主義者および農業・農民運動問題をめぐりレーニンと対立,それが原因となってロシア社会民主労働党第2回大会(1903)後のメンシェビキとボリシェビキへの分裂につながる。労働解放団はメンシェビキに移行した。
執筆者:佐々木 照央
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報