改訂新版 世界大百科事典 「イスクラ」の意味・わかりやすい解説
イスクラ
Iskra
ロシア社会民主労働党の機関紙。〈火花〉の意。デカブリストをたたえたプーシキンの詩にA.I.オドーエフスキーがこたえた詩の一節〈火花から炎が燃え上がるだろう〉から採られた。内外の修正主義の登場に危機感を抱いたレーニン,A.N.ポトレソフ,マルトフが,これと闘うために計画し,労働解放団と協力して1900年末ライプチヒで非合法に発刊した。新聞をロシアに持ち込み配布する協力者グループの組織や配布網の整備を通じ,イスクラ派は党内最大勢力となった。第2回党大会(1903)はイスクラ派主導下で開かれ,《イスクラ》は党中央機関紙となった。しかし組織原則をめぐる対立から,党はボリシェビキ派とメンシェビキ派に分裂。暫時ボリシェビキ派が支配したが,やがてプレハーノフがメンシェビキに移ると,レーニンは編集員を辞任し,《イスクラ》の刊行は1903年末の52号よりメンシェビキの手に移った。05年10月,112号で停刊。分裂前の新聞は〈レーニンのイスクラ〉,以後は〈新イスクラ〉とも呼ばれる。
執筆者:高橋 馨
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報