六訂版 家庭医学大全科 「動脈瘤様骨嚢腫」の解説
動脈瘤様骨嚢腫
どうみゃくりゅうようこつのうしゅ
Aneurysmal bone cyst
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな病気か
骨嚢腫と同じく骨のなかが空洞状になる病変ですが、骨嚢腫とは異なり内部にたまっているのは血液です。さらに骨嚢腫と違って、嚢腫壁に種々の程度の充実した組織が存在し、病気の拡大はより速く、腫瘍ではありませんが腫瘍を疑わせることがあります。
「動脈瘤様」といっても、血管が詰まっているものではなくて、骨を作る細胞と骨を壊す細胞、それに不規則な骨からなる組織で裏打ちされた空洞がいくつか集まって形成されています。
注意すべきことは、ほかのいくつかの良性骨腫瘍ではその内部に血液がたまる性格があり、部分的に動脈瘤様骨嚢腫に似た部分を形成することがあることです。
このように、全体は腫瘍で部分的に動脈瘤様骨嚢腫に似た変化がみられる場合、動脈瘤様骨嚢腫という診断ではなく、骨巨細胞腫、軟骨芽細胞腫、線維性異形成という病名になります。病変の全体に腫瘍がなく、純粋な動脈瘤様骨嚢腫といえる場合に本症と診断します。
症状の現れ方
痛みを伴った
検査と診断
X線写真では、骨の一部が大きくふくらんで確認されます(図45)。MRI像では、空洞の内容が固まっていない血液であるため、特徴的な液面形成という所見がしばしば認められます。また、一部に造影剤で強調されて見える充実性の腫瘤が確認されると、確定診断の鍵となります。
区別すべき病気としては骨巨細胞腫があげられます。先に述べたように、一部に動脈瘤様骨嚢腫に似た像を有することも多く、鑑別が困難なこともあります。骨巨細胞腫では骨の端の部分である骨端にも病変がありますが、動脈瘤様骨嚢腫では
治療の方法
手術によって、嚢腫の内部を
岡田 恭司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報