家庭医学館 「線維性骨異形成」の解説
せんいせいこついけいせい【線維性骨異形成 Fibrous Dysplasia】
骨腫瘍類似疾患(こつしゅようるいじしっかん)(骨腫瘍(こつしゅよう)によく似た病気)の1つです。骨腫瘍類似疾患のなかでは、骨嚢腫(こつのうしゅ)(「骨嚢腫」)についで多くみられる病気です。
骨の組織の一部に、線維組織と幼弱な骨組織ができます。
1つの骨におこる単骨性線維性骨異形成(たんこつせいせんいせいこついけいせい)と、2つ以上の骨におこる多骨性線維性骨異形成(たこつせいせんいせいこついけいせい)とがあります。
多骨性線維性骨異形成と、皮膚のミルクコーヒーのような色をした色素斑(しきそはん)(しみ)およびホルモンの異常をともなう場合は、オールブライト症候群(しょうこうぐん)といいます。
線維性骨異形成自体は良性の病気で、生命の危険はありません。
しかし、多骨性の場合には、きわめてまれではありますが、悪性に変化して、肉腫(にくしゅ)(がんとはの「悪性腫瘍のいろいろ」の肉腫)などになることがあります。
また、多骨性の場合には、骨が変形してしまいます。
単骨性の病変がおこりやすい部位は、大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)と、脛骨(けいこつ)(すねの太い骨)です。
多骨性の場合は、すべての骨に発生する可能性があります。
この病気がよくおこる年齢は、10歳代、10歳未満、20歳代となっています。
[治療]
単骨性の場合、痛みがなく、病的骨折の危険性がなければ、治療の必要はありません。
痛みがある場合や、骨皮質(こつひしつ)が薄くなって病的骨折をおこす危険がある場合に、変化をおこしている部分をかきとり(掻爬(そうは))、そのあとに骨移植を行ないます。
肋骨(ろっこつ)や腓骨(ひこつ)(すねの細い骨)など、切除しても運動機能にほとんど障害がおこらない部位であれば、手術して切除することもあります。
多骨性の場合は、痛みのある部位、変形のひどい部位が、手術の対象になります。しかし、手術後に再発することもあります。