出入(読み)シュツニュウ

デジタル大辞泉 「出入」の意味・読み・例文・類語

しゅつ‐にゅう〔‐ニフ〕【出入】

[名](スル)出ることと入ること。でいり。ではいり。また、出すことと入れること。だしいれ。「金銭出入を記録する」「船舶が港に出入する」
[類語]出入でい出入ではい出し入れ

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精選版 日本国語大辞典 「出入」の意味・読み・例文・類語

で‐いり【出入】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 出ることと入ること。しゅつにゅう。また、現われたり隠れたりすること。ではいり。出没
    1. [初出の実例]「於自今已後者、早伺見如然之族、云京中、云辺土、見知出入之所々」(出典:侍所沙汰篇‐文暦二年(1235)正月二七日)
    2. 「奉公の身をもって出入厳しき御門を忍び」(出典:浄瑠璃・娥歌かるた(1714頃)二)
  3. 金銭の出し入れや過不足。ではいり。
    1. (イ) 支出と収入。さしひき。出納(すいとう)勘定
      1. [初出の実例]「吏と云は国郡の所務のていりを存じて物をむさぼり民をかすめなやまして」(出典:玉塵抄(1563)一三)
      2. 「商人は店を閉ぢて、一日の出入りを算ふ」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉六)
    2. (ロ) 超過と不足。また、分量の多少。過不足。あるいは、その額や量の前後であること。
      1. [初出の実例]「指引算用仕候へば、過分之出入に候間」(出典:高野山文書‐(年未詳)正月一〇日・智荘厳院書状)
    3. (ハ) 売り買いすること。売買。
      1. [初出の実例]「絹布・綿・油・酒等之諸商人、仕切出入之分金相場直段違ひ齟齬多く、市中商人ども甚喧し」(出典:三貨図彙‐遺考(1825頃)一)
  4. ( ━する ) 普段から親しくその家を訪問していること。また、商売などでその家を得意としていること。ではいり。
    1. [初出の実例]「貴人の家にをやにそうてでいりをしたぞ」(出典:玉塵抄(1563)二二)
    2. 「先祖の代から出入りする百姓」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
  5. もめごと。いざこざ。喧嘩。悶着(もんちゃく)。争い。ではいり。
    1. [初出の実例]「荒野年貢相納に付而、互出入在之」(出典:図師氏文書‐天正元年(1573)一二月二四日近江山上村荒野年貢定文(近江神崎郡志稿))
    2. 「片手にりんと尻ひっからげ、出入花さく折も折」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三)
  6. 江戸時代、出入筋(でいりすじ)といわれる訴訟手続により裁判の行なわれる事件。ふつう民事事件にあたると解してよいが、理不尽、口論疵付(きずつけ)のような刑事事件は、相手方に返答書の提出が命ぜられ、これに含められた。吟味物に対する語。公事(くじ)。訴訟。公事出入。公事訴訟。出入物
    1. [初出の実例]「遠国の出入を都にて聞届け」(出典:浮世草子・新可笑記(1688)三)
  7. 移り変わり。
    1. [初出の実例]「気候時節のでいりなどをよう卜(うらない)知たぞ」(出典:玉塵抄(1563)二二)
  8. 歌舞伎などの舞台装置で、登場人物が出たりはいったりすることのできるようにしてあること。ではいり。
  9. 囲碁で、ある部分について、自分が打つのと相手から打たれるのとの差。主としてヨセの大きさを計算する場合に用いる。

いで‐いり【出入】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 出たりはいったりすること。出はいり。
    1. [初出の実例]「妹が門(かど)出入(いでいり)の河の瀬を早み吾が馬つまづく家思ふらしも」(出典:万葉集(8C後)七・一一九一)
    2. 「このいま一方(ひとかた)のいでいりするを見つつあるに」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  3. 立ち居振舞い。
    1. [初出の実例]「いへの人のいでいり、にくげならず、ゐややかなり」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一五日)
  4. 支出と収入とを計算すること。差引き勘定。
    1. [初出の実例]「計会とは物のけつげさんようをして出て入りのつぢをあわする」(出典:詩学大成抄(1558‐70頃)六)
  5. もめごと。訴訟沙汰。でいり。
    1. [初出の実例]「せんさくしたる法の出入 うはまへをとりかぢなれや湊舟」(出典:俳諧・毛吹草(1638)七)

出入の補助注記

「万葉集」の例は、地名の「入の川」をかける。


しゅつ‐にゅう‥ニフ【出入】

  1. 〘 名詞 〙 出ることとはいること。出たりはいったりすること。でいり。ではいり。また、出すことと入れること。出したり入れたりすること。だしいれ。しゅつじゅう。
    1. [初出の実例]「長帯烟霞、逍遙山川之阿、遠望風波、出入鴈木之間」(出典:万葉集(8C後)五・八一〇・題詞)
    2. 「トシゴロ ワガ コノ アタリヲ xutnhǔ(シュツニュウ) スルヲ」(出典:天草本平家(1592)二)
    3. 「衡門(かぶきもん)に黒ぬり車出入(シュツニフ)させて」(出典:うもれ木(1892)〈樋口一葉〉三)
    4. [その他の文献]〔書経‐冏命〕

だし‐いれ【出入】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 出すことと入れること。物品または金銭を出したり入れたりすること。
    1. [初出の実例]「倉奉行は官物なれども我ままにえず。只だしいれをするばかり也」(出典:応永本論語抄(1420)堯曰第二〇)
  3. 出汁(だしじる)を入れる器。
    1. [初出の実例]「向ひの娘が醤油買に行くとくりはうどんやのだし入れ」(出典:洒落本・昇平楽(1800))

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普及版 字通 「出入」の読み・字形・画数・意味

【出入】しゆつにゆう

出納。

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