日本大百科全書(ニッポニカ) 「北村政治郎」の意味・わかりやすい解説
北村政治郎
きたむらまさじろう
(1882―1933)
無線電信の開拓者の一人。滋賀県大津市に生まれ、8歳のとき叔父北村斎一郎の養子になり新潟市に移った。19歳のとき東京郵便通信学校に入学し、1904年(明治37)卒業。同年逓信(ていしん)省電気試験所に就職、1912年にTYK式無線電話機を鳥潟右一(とりがたういち)、横山英太郎(1883―1966)とともに発明した。この瞬滅火花式(毎秒数万回の火花放電により持続電波を発生させる)送信器と鉱石検波器(整流作用をもつ鉱石を利用した検波器)を組み合わせた発受信装置は、日本最初の実用化された対船舶用無線電話であった。その後、同試験所の丸毛登(まるものぼる)(1888―1969)の協力のもとに高周波式有線多重電信電話装置・有線両電話接続装置、送電線における高周波通信方式を発明。1924年(大正13)退官。翌1925年開局した東京放送局(現、NHK)の技師長となり、放送事業の発展に尽くした。
[山崎俊雄]