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医療観光 イリョウカンコウ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

医療観光
いりょうかんこう

海外から検査・治療目的の患者を受け入れる医療サービス。医療ツーリズム、メディカル・ツーリズムMedical Tourismともよばれ、温泉治療、特産品料理の食事、名所・旧跡巡りなどと組み合わせて提供されることが多い。産業(遺産)観光、スポーツ観光、エコツーリズムなどと並ぶニュー・ツーリズム(テーマ性が強い旅行)の一つとされる。かつては開発途上国の富裕層が高度技術を求めて先進国へ渡る例が多かったが、最近は医療費の高い欧米や中東の患者が、技術が高く治療費の安いアジアへ向かうのが主流となっている。内容は癌(がん)や心臓手術などの高度医療から美容整形まで幅広い。日本政策投資銀行の推計では、2008年(平成20)の医療観光客は世界で約600万人おり、タイ、シンガポール、マレーシア、インド、韓国などアジア諸国がほぼ半数を受け入れた。世界市場規模は2012年に1000億ドルまで伸びるとみられ、観光振興の一環として多くの国が医療観光の強化を競っている。
 日本は陽電子放出断層撮影装置(PET)診断や磁気共鳴映像装置(MRI)診断など最先端医療技術をもちながら、医療観光客は年1万人未満である。日本政府は2010年、新成長戦略の一環として医療観光強化を表明、2011年から、最長半年間日本に滞在できる医療査証(ビザ)の発行を始めた。医療通訳の養成や、外国人と日本の病院を仲介する医療コンサルティングの設置にも乗り出し、受け入れ態勢の整備を進めている。商機拡大や地域振興につながるため、旅行会社などの民間企業、医療機関、自治体も外国人患者の受け入れに積極的である。一方、医療観光で訪れたインドなどで、抗生物質がほとんど効かない新型耐性菌(多剤耐性菌)に感染する問題が起き、医療観光が新型耐性菌の世界的な感染拡大を助長しているとの指摘もある。[編集部]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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