PET(読み)ぺっと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「PET」の意味・わかりやすい解説

PET
ぺっと

陽電子ポジトロン)を検出して画像化する核医学検査もしくは撮影装置。PETは、陽電子放出断層撮影positron emission tomographyの略。ポジトロンCTポジトロン断層法ともよばれる。ブドウ糖を取り込む腫瘍(しゅよう)や心筋サルコイドーシス、大血管炎の評価などに用いられる。

 PET薬剤として広く用いられている18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)はブドウ糖と類似した性質を示し、静脈注射するとブドウ糖代謝が盛んである腫瘍や炎症病変に取り込まれる。検査では、細胞内に蓄積した18F-FDGより放出された陽電子と周囲の電子が衝突して生じる2本のγ(ガンマ)線を画像化する。CTを同時に行う「PET-CT」ではCTとPETの画像を融合して、CTによる解剖学的情報とPETによる病変の機能情報を同時に評価することが可能であり、臨床におけるPET検査の主流となっている。

 18F-FDG以外のPET薬剤により、グルコース代謝以外の評価が行える。たとえばアミロイドイメージング用PET薬剤(アミロイドPETイメージング剤)により、アルツハイマー型認知症では発症前より脳に蓄積するβ(ベータ)アミロイドの画像化が可能で、アルツハイマー型認知症の評価や治療効果判定における有用性が期待されている。

桐生 茂 2021年8月20日]

『久保敦司他著『核医学ノート』第6版(2019・金原出版)』

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