卍字蔵経(読み)まんじぞうきょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「卍字蔵経」の意味・わかりやすい解説

卍字蔵経
まんじぞうきょう

1902~05年に日本で出版された大蔵経。『大日本校訂訓点大蔵経』の通称。浜田竹坡,米田無諍などの校訂で,江戸時代中期の忍澂が『高麗板大蔵経』と対校して編集した『黄檗板大蔵経』を整理し,,論(→阿毘達磨),西土撰述の 4部門に分け返り点をつけているのが特徴。1621部を収め,上欄に文字の異同出入などを注記。和装 36套 347冊。『大正新脩大蔵経』や『縮刷蔵経』に含まれていない典籍を収録している。(→漢訳大蔵経

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世界大百科事典(旧版)内の卍字蔵経の言及

【大蔵経】より

…大蔵経開版の企ては,日本においても中世にすでにあったが実現せず,近世にいたり,南光坊天海による寛永寺版(天海版)が徳川幕府の支援をうけて1648年(慶安1)完成,次いで鉄眼道光が庶民の結縁により黄檗(おうばく)版一切経を1681年(天和1)完成した。近代に入り,明治時代には,1885年縮刷大蔵経が刊行され,つづいて《卍字蔵経》が1905年に,《大日本続蔵経》が12年に完成したが,その後の仏教界や仏教研究に寄与したのは,高楠順次郎・渡辺海旭監修の《大正新脩大蔵経》100巻で,高麗海印寺本を底本として諸本と校合,24年から34年にいたる歳月を費やし,正蔵(55巻),続蔵(30巻),昭和法宝目録(3巻),図像部(12巻)を収めるこの大蔵経は,基本的テキストとして用いられている。一方,漢文蔵経の訓読も行われ,《国訳大蔵経》《国訳一切経》《昭和新修国訳大蔵経》などがある。…

※「卍字蔵経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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