熱帯太平洋上の地上気圧が数年周期で変動する現象。日付変更線付近より西側で気圧が高くなるときは東側で低くなり,西側で低くなるときは東側が高くなる。気圧があたかもシーソーのように振動することから,南方振動と呼ばれる。この現象は,1923年にイギリスの気象学者ギルバート・ウォーカーによって発見された。原因は,熱帯太平洋の西側で空気が上昇し,東側で下降する大気循環(東西循環,ウォーカー循環)の強さが,数年周期で変化するためと考えられている。この振動は,エルニーニョとラニーニャの交代と一致しており,エルニーニョと合わせてエンソ ENSO; El Niño/Southern Oscillationと呼ばれることもある。