南泥湾(読み)なんでいわん(その他表記)Nán ní wān

改訂新版 世界大百科事典 「南泥湾」の意味・わかりやすい解説

南泥湾 (なんでいわん)
Nán ní wān

中国,陝西省延安市南部の地名。抗日戦争中は抗日根拠地の中心,陝甘寧辺区に属していた。1941-42年,抗日根拠地は日本軍の攻撃と国民党封鎖を受けて厳しい経済的困難に直面,これを打ち破るため,43年から軍民大生産運動を展開した。王震の率いる八路軍第359旅団は陝北の荒地南泥湾を,刻苦奮闘・自力更生の精神で3年の内に〈陝北の江南〉に変え,大生産運動の模範となった。第359旅団は農業を基本として手工業,工業,商業も行い,無から有をつくり,小を大に変え,みずから必要とするものをみずから生産し,さらに抗戦と軍民の生活を支えることに貢献した。自力更正・刻苦奮闘の精神の象徴として語りつがれた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の南泥湾の言及

【延安】より

…41年蔣介石の命により,国民政府は大軍をさしむけて延安を包囲し,食糧,衣服,兵器などの一切の搬入を遮断したが,毛沢東は大生産運動を展開して,この貧寒な陝北の黄土高原地帯で,食糧,衣料品などの自給自足を実現し,この難局を切りぬけた。当時中国紅軍が荒地を開いて肥沃な農地を作った延安南東の南泥湾は当時陝北の江南と称せられた。延安には今も鳳凰山,棗園(そうえん),楊家嶺,王家坪など毛沢東はじめ当時の党幹部の旧居や党・軍の機関のあった建物が多く残っており,延安は革命聖地として重視されている。…

※「南泥湾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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