六訂版 家庭医学大全科 「単純近視と変性近視」の解説
単純近視と変性近視
たんじゅんきんしとへんせいきんし
Simple myopia and Degenerative myopia
(眼の病気)
どんな病気か
単純近視は、眼鏡をかければ視力が1.0以上得られ、視野(見えている範囲)にも異常がない近視をいいます。変性近視は病的近視ともいい、眼鏡をかけても視力が1.0未満しか出ないか、視野に異常が出る近視をいいます。
一般に近視の程度が強くなると、変性近視になる確率が高くなります。日本人ではマイナス8D(ディオプター)以上の強度近視では、変性近視になりやすいと報告されています。
原因は何か
変性近視で視力が低下する理由は、
症状の現れ方
変性近視は、中年以降に発症することが多く、眼鏡で
検査と診断
網膜剥離、黄斑変性は、眼底検査で診断されます。緑内障は視野検査で、白内障は
治療の方法
眼軸長の延長を止める治療法は、現在のところありません。白内障や網膜剥離による視力低下は、手術により回復させることが可能です。強度近視に伴う緑内障は眼圧(眼の圧力)が高い場合は点眼薬で治療しますが、眼圧が正常である場合は、循環改善薬の内服薬などが処方されます。新生血管が生じて黄斑出血が起こった場合、初期には抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体の硝子体内投与が有効です。
病気に気づいたらどうする
強度近視の人で、眼鏡を替えても視力が出にくくなった場合は、変性近視が始まっている可能性があるので、早めに眼科を受診してください。
不二門 尚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報