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原初状態 げんしょじょうたいoriginal position

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原初状態
げんしょじょうたい
original position

J.ロールズ正義の二原理を導き出すために設定する仮説的状況。ロックやルソーに代表される社会契約説が想定した自然状態の発想をより高次のレベルで継承しようとするものである。社会契約説が自然状態での原子論的個人から出発することで,政治社会の正当性を論証しようとしたように,原初状態という理想的状況で選択された原理であることが正義の原理の正当性を基礎づけている。自然状態が歴史的な国家の説明原理とも考えられていたのに対して,原初状態は全員一致の公正な合意がなされるよう配慮された操作的な概念であり,そのための条件づけがなされている。原初状態は「穏やかな希少性」が支配しており,自然的資源は当事者の協働を必要としないほど豊富ではないが,協働を破壊するほど苛酷でもない。また各人はこの希少性という条件を除いてはみずからの属する社会の特殊な環境 (経済や政治の状況,文明や文化の水準) について,さらにみずからのアイデンティティを構成する諸条件 (社会における地位,資質や能力,みずからの善の観念) についての情報をもたない「無知のベール」をかぶされた状態にあるとされている。この状態から合理的な選択に従えば全員一致で正義の原理が選択されるとしている。

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