口米・口永(読み)くちまい・くちえい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「口米・口永」の意味・わかりやすい解説

口米・口永
くちまい・くちえい

江戸時代年貢米輸送・保管中に減損した分を補うためにあらかじめ課した付加税。口米はそれを米で,口永貨幣で納めるものをいう。鎌倉時代にはすでに口籾 (くちもみ) という付加税があり,豊臣秀吉は年貢1石あたり口米2升と定め,江戸幕府は元和2 (1616) 年,貢米1俵につき口米1升,貢永 100文につき口永3文と付加率を定めた。ただし税率品目には地域差,時代差があり,八丈島口紬生野銀山の口銅など特殊なものもあった。幕府は,代官所の経費として下付していた口米,口永を享保 10 (1725) 年以降,本年貢同様公納化し,諸藩も多くこれを採用,明治維新を経て地租改正まで存続した。 (→欠米〈かんまい〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「口米・口永」の意味・わかりやすい解説

口米・口永
くちまいくちえい

江戸時代における付加税。年貢納入の際、その減損を補うためにまえもって一定額の米を付加して納入させたのが口米であり、金納の場合にこれに付加して銀または銭を納めさせたのが口永である。両者を略して口米永ともいう。幕府は1616年(元和2)に、口米を年貢米1俵(3斗5升)につき米1升、口永を100文に3文と定めているが、1644年(正保1)にはこれを改正関東は3斗7升1俵(計立(はかりだて))に口米1升、永100文に口永3文、関西は1石に口米3升としている。

吉永 昭]

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