古代感愛集(読み)コダイカンナイシュウ

デジタル大辞泉 「古代感愛集」の意味・読み・例文・類語

こだいかんないしゅう〔コダイカンアイシフ〕【古代感愛集】

釈迢空しゃくちょうくう折口信夫)の詩集。昭和22年(1947)刊。本作により折口は翌昭和23年(1948)芸術院賞受賞

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関連語 中央公論社

日本大百科全書(ニッポニカ) 「古代感愛集」の意味・わかりやすい解説

古代感愛集
こだいかんないしゅう

釈迢空(しゃくちょうくう)(折口信夫(おりくちしのぶ))の詩集。1947年(昭和22)3月青磁社より刊。この詩集は1945年に一度製本にまで至ったが戦火で焼失し、版を改めて出版した。所収の22編は、主として長歌体の文語詩で、古語を自在に用い、沖縄や大和(やまと)、あるいは幼時回想題材にしたものが多い。なかでも「月しろの旗」は6章、850行の長編で、中世の末に名和(なわ)氏の一族が海を渡って沖縄に至り、尚(しょう)家の祖となるという構想で、日本には数少ない海洋性に富んだ長編叙事詩である。この詩集に対し、48年第1回の芸術院賞が贈られた。

岡野弘彦

『『折口信夫全集23』(1967・中央公論社)』

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世界大百科事典(旧版)内の古代感愛集の言及

【折口信夫】より

…《アララギ》と別れた迢空は24年北原白秋,古泉千樫らと《日光》同人になり,さらに鳥船社を結成して活躍を続け,太平洋戦争に養子折口春洋(はるみ)を硫黄島でうしなう悲傷を歌った《倭(やまと)をぐな》(死後出版,1955)まで,旺盛な作歌意欲を示した。句読点をほどこすなど,短歌形成とそれに内在する律動との関係をつきつめ,そればかりでなく長歌や自由律の詩作にも筆を染めて,《古代感愛(かんない)集》(1947,これによって翌年芸術院賞受賞)など3冊の詩集を編んでいる。
[民俗学者として]
 信夫の学問は,以上のような創作活動と深くかかわっていて,独特な用語を駆使し,ときに飛躍のある晦渋な論文が生み出されるのはその創作者的資質によろう。…

※「古代感愛集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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